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テレビが面白くなくなった理由は“コンプラ強化“? 業界とタレントの炎上70年史

ITmedia NEWS / 2025年1月16日 16時27分

 当時大きな社会問題となったのは、「薬害エイズ問題」である。エイズ(HIV)が最初に認識されたのは81年頃とされているが、そこから間もなくして血友病などの患者が治療に使用する非加熱血液製剤にHIVウイルスが混入したことで、大量の感染者を出した。

 この報道が加熱し、患者に対するプライバシー侵害や差別を助長するといった問題が指摘されはじめた。報道に対する姿勢が疑問視されはじめた事件である。

 さらにマスコミ取材の在り方が問題視された事件として、85年の「豊田商事会長刺殺事件」がある。今日明日にでも逮捕されるのではないかとして会長の自宅前を取材中の沢山のテレビクルーの前で、男性2名が自宅の窓ガラスを破って室内に侵入し、会長を殺害したのちまた窓から出てくるという一部始終を、テレビカメラはただ漫然と撮影した。

 当然この姿勢は、大きく批判されることになる。現場にいた記者やカメラマン全員が殺人ほう助で起訴されたが、のちに嫌疑不十分として不起訴となった。とはいえ、マスコミ関係者の人間性が疑問視される結果となった。

 その翌年、86年に起こったのが「フライデー襲撃事件」である。当時全盛であった写真週刊誌「フライデー」の編集部に、その取材方法を不服としたビートたけしおよびたけし軍団の一部が押しかけ、暴力事件を起こした。

 タレントの不祥事としては、珍しいタイプである。当時過激な取材方法が問題視されていたタイミングでもあり、フライデー側を非難する声も大きかった。テレビ番組とは直接の関係はないが、メインパーソナリティが謹慎したことにより、番組名の変更や番組主旨変更、終了などが行なわれた。

●「放送倫理」に揺れた90年代

 90年代は、芸能界の薬物汚染で幕を開けた。90年に俳優の勝新太郎が、ハワイ・ホノルル空港で大麻とコカイン所持で現行犯逮捕されると、マスコミはこぞってハワイに飛んだ。現地で行なわれた記者会見では、パンツの中に隠し持っていた理由を「気づいたら入っていた」、「もうパンツははかないようにする」などと煙に巻いた。「大麻パンツ事件」としておもしろおかしく報じられたが、のちに社会的影響が大きい事件の報道としてはふさわしくないとして非難された。

 その後もクリーンなイメージの歌手やタレントが相次いで覚せい剤取締法違反で逮捕される事件が散発的に発生したことで、これまで事務所に守られていたタレントに対しても、厳格な報道が求められるようになっていった。

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