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テレビが面白くなくなった理由は“コンプラ強化“? 業界とタレントの炎上70年史

ITmedia NEWS / 2025年1月16日 16時27分

 関西テレビの制作であるが、実際に制作したのは外部の制作会社とされている。過去の放送回でもねつ造があきらかになり、テレビ局側のチェック体制の杜撰さが指摘された。これにより関西テレビは民放連から除名処分を受けた。

 またこれをきっかけにBPO内でも新たに放送倫理検証委員会が設立され、番組委託制作に関わる契約条件、高視聴率への必要以上のこだわりなどが問題視されるようになっていった。

●ネットのパワーがテレビを弱体化させた2010年代

 10年代に入る頃には、SNS、特にTwitterは個人発信という範疇を超えて、社会的情報インフラの入り口に差しかかっていた。そこを起点として、Ustreamやニコニコ生放送などライブ動画への熱も高まり、今起こっている事をそのまま公開する「ダダ漏れ」は、伝える側が伝える内容を解釈・選択・編集しない、すべては受け手側が判断し、責任を負うものとされた。

 この考え方は、今やメディア論やジャーナリズム論では支持されていない。公衆送信する責任を発信者が負わないという考え方は、法的にも無理がある。この方法論は、多くの炎上事件を招いた。

 そしてその渦中の11年3月11日に、東日本大震災が発生する。政府もマスメディアもSNSも、混乱した。何が正しい情報なのか、もっと情報はないのかといった渇望から、TwitterやUstream、ニコ生がテレビに変わるメディアとして成立していった。

 実社会では、調査報告や会議、救助復旧活動が絶えず起こっている。放送時間という枠が決まっているテレビは、その全てを伝えることができない。それをネットライブが変わって伝えた。そこには、ダダ漏れ的な手法や考え方もまだ色濃く残った。現場で起こっている事に対して、解釈や判断が追いつかなかったが、取りあえず知りたいという欲求には応えることができた。その根底で、テレビは信用できないという雰囲気が醸成されていった。

 その不満が爆発したのが、11年8月の「フジテレビ抗議デモ」である。フジテレビの放送内容が韓流を過剰に賛美しているとして、SNSでの呼びかけに応じた人達が集結し、本社を囲んでデモ行進を行なった。この抗議行動はそれ以降も散発的に行なわれた。

 テレビの放送内容を巡って数千人単位の人が集まって抗議を行なうということは、近年なかった動きである。当時テレビ局は、ネットで何を言われようが実社会に影響はないとして無視を決め込んできただけに、この抗議行動はテレビ業界にネットパワーの具体性を認識させるといった方向に作用した。以降テレビ局は、ネットの評判を気にするようになっていった。

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