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映像編集の“面倒くさい”をどんどんAIに Premiere Pro β版に搭載された、2つの新機能を試す

ITmedia NEWS / 2025年2月10日 16時31分

 現時点では、Premiere Proに組み込まれた機能ゆえに、プロジェクトに読み込ませた素材しか解析の対象にならず、解析情報はプロジェクトファイルのキャッシュか、素材ファイルと同じフォルダ内のサイドカーファイルに記録するかの選択になる。将来的に期待したいのは、これが別ツールになり、素材を記録したHDDやSSDなどの中身をいっぺんに解析してメタデータ化してくれることだ。具体的には、「Adobe Bridge」のようなアセットマネジャーにこそ搭載すべきである。

 こうした機能は放送局向けのアーカイブシステムではすでに存在するが、個人やプロジェクト単位、小規模プロダクションで利用できるようなものではない。

 さらにAI解析によるメタデータの持ち方が標準化されれば、一度解析したクリップならどの編集ツールでも、あるいは素材ブラウザのような別ツールでも検索が可能になるだろう。これがその第一歩であることを期待したい。

●他言語翻訳可能になった字幕

 今やAIによる文字起こしは一般的なツールとなり、議事録作成やインタビュー起こしなどに活用されている。昨今では大学の講義を録音してAIで文字起こしし、そのテキストをさらにAIに食わせてサマリーを作らせることで学習を効率化するといったことまで行われるようになった。これに関しては賛否あるところである。

 編集ツールに文字起こし機能を搭載したのは、Premiere Proがかなり早かった。書き起こしたデータを元に、いわゆる「字幕」も入れられる。さらに書き起こしたテキストを切った貼ったするだけで、動画編集ができる機能も搭載した。もともとそうした機能は、韓国の編集ツール「Vrew」が搭載していた機能である。

 今回の25.20βで搭載された新機能に、「キャプションの翻訳」がある。字幕として作成した言語に対して、別の言語に翻訳した字幕を作成できる機能だ。例えば元の言語が日本語だったとしても、英語や中国語の字幕を作成することができる。

 日本語というのは英語、スペイン語、中国語などと違い、世界でそのまま通用するわけではないので、こうした翻訳字幕が作成できれば、コンテンツを世界に発信することもできるようになる。

 とはいえ、製作者が理解できない言語に対しては、その字幕が正しいのか判断ができない。そこが単純に喜べないところである。元のテキストと翻訳テキストを何らかの形で出力し、別のAIで整合性をチェックするといったことは必要になるだろう。いわゆるセカンドオピニオンとして、外部のAIとなんらかの形でインタフェースする仕掛けが、今後は必要になるのではないだろうか。あるいは翻訳エンジンだけ外部のAIを使いたいといった要望も出てくるだろう。

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