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金持ちの倫理観が完全に終わってるSF映画! “クローンを死刑にすれば無罪放免な島”での悪夢を描く「インフィニティ・プール」レビュー

ねとらぼ / 2024年4月7日 19時0分

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映画「インフィニティ・プール」は絶賛公開中/c 2022 Infinity (FFP) Movie Canada Inc., Infinity Squared KFT, Cetiri Film d.o.o. All Rights Reserved.

 映画「インフィニティ・プール」が、4月5日から公開されている。この映画、「この世の邪悪を煮詰めて作った汁を飲ませたら、人間はどう変わっちゃうのか」を、バキバキの天才監督がねっとりと見せる作品だ。「イヤな映画」が好きな人は必見。走って映画館に行きましょう。なお、この記事は基本設定について一部ネタバレを含んでいるので、まっさらな状態で見たい人は注意していただきたい。

●「クローンを死刑にすれば無罪放免」なリゾート島で、カスな金持ちが大暴れ!

 主人公ジェームス・フォースターは、スランプに陥った作家である。妻のエムと共に高級リゾート地であるリ・トルカ島を訪れた彼は、再び創作に向かうためのインスピレーションを得ようと焦っていた。ある日ジェームスは、自分の著作のファンだという女、ガビ・バウアーと知り合う。ガビとその夫アルバンと夕食に出かけ意気投合したフォースター夫妻は、翌日スタッフから車を借りてホテルの敷地外へと出かけることに。

 リ・トルカ島では、観光客がホテル敷地外へ外出することは、トラブル防止のために禁じられていた。禁を破って外出した4人だったが、ホテルに戻るためにジェームスが車を運転している時に事故を起こし、島民を撥ねて殺してしまう。

 島の法律ではあらゆる犯罪が内容を問わず死刑に処されることになっており、このままではジェームスも死刑ということに。焦るジェームスに提示されたのは、「大金を積んで犯人と同じ記憶を持つクローン人間を作り、クローンに刑を肩代わりさせれば本人は死刑を免れることができる」という特別ルールだった。ジェームスはこのルールに飛びつくが、それはさらなる悪夢への入り口だった。

 毎回毎回よくもまあこんなにイヤな設定を思いつくな……を感心してしまうブランドン・クローネンバーグ監督の最新作、今回のネタはクローン人間である。

 と言ってもSFっぽい突飛さがあるのは「金はかかるけど、やろうと思えばクローンを作れます」という設定だけで、あとはその設定を使ってどれだけ生理的にゾクゾクする状況を作れるか、そして一人の男が「やっちゃう側」へと一線を踏み越えていく様子に力を入れた作品になっている。「奇抜で奇怪な設定を背景に、人間が不可逆な変化をする様を描く」という点に関して言えば、監督の前作「ポゼッサー」もそうだった。お好きなんですね、そういうの……。

 しかし「ポゼッサー」と違い、今度の舞台はセレブや金持ちが集まる高級リゾートである。一昔前ならすごい金持ちがどう生活しているかというのはぼんやり想像するしかなかったが、今の時代はSNSで金持ち側が勝手に自慢してくる。そういった投稿を見ているとわかるが、“調子に乗った金持ち”というのは決して我慢したり順番待ちの列に並んだりしない。多少法律を犯していようが面白そうだからやりたいと思えばやっちゃうし、金持ち以外の人間を低く見ることにも躊躇がない。そういったグロテスクな格差を、「インフィニティ・プール」はねっとりと描く。

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