コンテンツサービスで相次ぐ突然のクレカ決済停止の問題点 今後どう対応できるのか、議員と弁護士に聞いた
ねとらぼ / 2024年7月19日 12時0分
最も厄介な要請は「自主規制」?
山田議員 規制の方法についても、クレジットカード側がコンテンツ提供者に特定の表現について具体的な規制を求める場合もあれば、コンテンツ事業者に対して自主規制を求めてくる場合もあります。実は自主規制を求めてくる方が厄介で、明確な指摘がない分「これもやばそう、あれもやばそう」と規制する範囲が広がってしまいます。
もしかしたら、アクワイアラーの一部が膨らませた規制案がコンテンツ提供者に提示されている可能性もあります。そうなると、国際クレジットカードブランドは「そんなことは言っていない」となります。こういう表現がこういう理由でダメ、というのがどこからの起案なのかが分かりにくいんです。
小山弁護士 事務所では「最近クレジットカード会社から『禁止商材の取扱が判明した場合は、即刻お取引を停止することがあります。また、制裁金等が課される可能性もあります』というアナウンスをされた」といった相談も受けています。
―― 制裁金の話も出された上で規制を迫られたら、コンテンツ提供者としては広い範囲での規制を行わざるを得ないですね。
山田議員 ちょっと踏み込んだ話をすると、今回の規制はタイトルがダメ、となっているんです。でも、本当に問題視すべきはコンテンツの中身なんですよね。もちろん、他人の権利利益を侵害する違法性があるコンテンツは取り締まられるべきですが、タイトルやキーワード自体を規制するのは何を取り締まろうとしているか分からないです。
コンテンツの中身やパッケージに何の問題がないとしても、外側に書かれた商品名だけを見て、取引させない、取引を停止するというのは完全な言葉狩りでしょう。
●重要なのは「自由を保障させる」こと
―― この問題には政府としてどのような対応ができるのでしょうか? 以前の放送では、独占禁止法や情報流通プラットフォーム対処法を挙げておられましたが……。
山田議員 今の既存の法律では直接的には対処はできないんです。表現の自由は憲法で保障されていて、その内容や限界等を正面から規律している法律はありません。とはいえ、直接的ではなくとも、プラットフォーマー規制や消費者保護の観点から、「プラットフォーマーが勝手に自分の考えで取引してだめなもの、いいものを決めてはいけない」というような規律を行うことは可能なはずです。
例えば、今年(2024年)成立した「情報流通プラットフォーム対処法」では、プラットフォーマーに「投稿を削除するなら削除基準を策定し公表しなさい」とする一方、「理由もなく削除したり、削除申出を無視してはいけない」とするなど、規律を行っています。
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