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肉弾戦をしないプリキュアはラスボスにどう立ち向かったのか? 「わんだふるぷりきゅあ!」が描いた“大好き”を伝えることの意味

ねとらぼ / 2025年1月30日 18時5分

 そしてスバルの「人間を許せない、でも本当に許せないのは俺だ」というセリフに象徴されるように、スバルの憎悪の対象は「人間」という大きな主語から「スバルという個人」の問題に収束していきます。

 狼が何を考えているかは分からない。でも「ガオウという個」の気持ちは知ることができます。その思いを伝えるのが「動物の言葉を理解できる」同作の主人公、キュアワンダフルに与えられた役割です。

 ガオウの声を届けるために、キュアワンダフルはスバルの元に駆け付け、ガオウの思いを伝えます。

 「ガオウはスバルが大好きなんだよ!」

 物語の帰結は、「狼が人間をどう思っているのかは分からないけど、あくまで『ガオウ』は『スバル』が大好きである」としたのです。

 「わんだふるぷりきゅあ!」は、あくまで「個人」のつながりを物語の中心に置きました。

 それは動物を扱う作品としてとても真摯(しんし)な姿勢だと思います。

 現実ではしゃべることのできない動物に、「狼は人間を恨んでいませんよ」と勝手なことを言わせることはできません。「勝手に相手の思いを推測して、こうだと決めつけること」をせずに、あくまで「本人」がどう思っているのかに焦点を当てたのです。

●世界は「あなたと私」から始まる

 スバルとの最終決戦に向かう前、「人間のいろは」と「犬のこむぎ」は会話を交わします。

 こむぎは言います。

 「こむぎはいろはと一緒にいたくて、だからプリキュアになったんだよ」

 いろはは返します。

 「私もワンダフルと一緒に走るために、プリキュアになったんだから」

 彼女たちがプリキュアになったのは、何かを守るためでもなく、自己実現のためでもなく、ましてや世界を救うためでもなく、ただ「あなたと一緒にいたい」からなのです。

 そこにあるのは「あなたと私」という小さくて大きな関係性。

 プリキュアは世界を救う使命を与えられず、ただ「大切なあなたと一緒にいたい」そのために変身の能力を与えられました。

 こむぎは言います。「いっしょにいると、楽しくて、大切だから、守りたい」。

 同作のプリキュアが守っていたのは「大切なあなた」なのです。

 昨今のSNSで見られる「世界は」「男は」「女は」「子どもは」「大人は」「母親は」といった大きな主語を使わず、あくまで「あなたと私」という個のつながり、社会の最小単位の「2人」の関係性こそが、世界をワンダフルにしていくのだということが描かれました。

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