iPhoneへの「マイナンバーカード」にまつわる誤解を解く プラスチックカードより安全だが課題もある
ITmedia PC USER / 2024年5月31日 18時0分
実は、AppleはHealthKitでそれを実践している。
コロナ禍において、政府は市町村や特別区を通して給付金を配ろうとした。しかし、振り込み先となる預金口座の把握に時間を要した上、市町村や特別区の事務的/財政的負担がかなり大きくなってしまった。財政的負担は国がカバーしたとえはいえ、時間もお金も膨大になってしまった。
その反省を踏まえて、政府はマイナンバーを活用した「公金受取口座登録制度」を創設することになった。マイナンバーカードを保有している人は、マイナポータルを通して給付金などの入金口座を登録できる。
このようにマイナンバーの仕組みには、良い面もあれば悪い面もある。政府がこの仕組みをどのように利用しようとしているかを監視することは重要だが、良い面をうまく活用すれば、多くの無駄な仕組みを簡略化できる。
●政府の動きの“監視”がより良い仕組み作りにつながる
iPhoneへのマイナンバーカード搭載を機にもう一度、マイナンバーやマイナンバーカードをどう活用すべきか、広く議論してもいいのかもしれない。
個人的に、筆者はiPhoneへの今回のマイナンバー機能搭載には賛成している。しかし、大きく2点の問題があると考えている。
1つはiPhoneのApp Storeにおいて「アプリ代替流通経路(サイドローディング)」の議論が進んでいることだ。以前書いた記事でも触れた通り、サイドローディングはスマホのセキュリティリスクを高める恐れがある。そんな機能を、政府はAppleに強制しようとしている。「マイナンバーカードにひも付けされた情報が入っているスマートフォンから、悪意のあるサイドローディングされたアプリが情報を盗み出したら?」と、どうしても考えてしまうのだ。
これに対して「いやいや、サイドローディングが簡単にできるAndroidスマホだと、既にマイナンバーカードの電子証明書が搭載可能で、何か問題が起きているのか?」という声が複数寄せられるだろう。確かにその通りで、AndroidでもiPhoneでも基本4情報(氏名/性別/住所/生年月日)からなる「スマートフォン用の電子証明書」はセキュアエレメントと呼ばれるスマートフォン内の暗号化を突破しないとアクセスできない場所に大事に格納されておりかなり安全だ。
とはいえ、スマートフォンへのマイナンバーカード搭載によって、マイナポータルなど多様なサービスが活用され、既にマイナポータル経由で診療情報がダウンロード可能なように、そういった多様な個人情報がよりスマートフォンに蓄積されていくことになる。
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