1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. パソコン

“後出し”の生成AI「Apple Intelligence」がAppleの製品力を高める理由

ITmedia PC USER / 2024年6月12日 18時0分

 また文書生成や画像生成に関してもデバイスと統合され、例えば電子メールの文面の清書を依頼する際にも、その“作法”に応じた結果を出せるよう学習されているそうだ。プロンプト(テキスト)で指示しての生成に加え、自動的にいくつかの選択肢を提示しながら好みの生成結果を求められるようにユーザーインタフェース(UI)を工夫もしている。誰もが取り残されず、生成AIを使いこなせるようにする工夫だ。

●オンライン処理でプライバシーを守るための工夫

 オンデバイスとクラウド(オンライン)両方のAIモデルをシームレスにつなぎ、それでもプライバシーを守ることができる――それはなぜか。この部分に、Appleならではの工夫と優勢が垣間見える。

 Appleによると、可能な限りオンデバイスでAIに関する処理を済ませた上で、細かく細分化したデータをクラウド側に送出しているのだという。具体的には、オンデバイスのAIモデルでデバイス内のユーザーデータを解析し、必要な情報を抽出した後、データのコンテクスト(関係性)をデバイス側で担保した上で、細かいトランザクションをクラウドサーバに投げているそうだ。

 クラウドサーバに投げたトランザクションの結果(データ)は、細分化されたままデバイスに戻ってくる。それをデバイス側がつなぎ合わせ、結果として提示される仕組みとなる。

 先ほどの「娘が出演する演劇」の質問の例に当てはめると、質問の分析と必要な情報の収集はデバイス側で行う。その後、データを「スケジュールの情報」「位置情報」「イベントの情報」といった感じで“細分化”した上で、“別々に”クラウドサーバへと送信される。

 この手法自体は、従来からAppleの「マップ」で使われており、データ自体には個人を特定できる情報は一切含まれない(含まれていたとしても匿名化した上で送られる)。通信ごとにトークンを変更し、ユーザー側のIPアドレスも一切隠されるという徹底ぶりだ。

 とはいえ、サーバ側に送られる情報や、サーバでの処理内容はユーザーからは見えない。そこでAppleはクラウド処理の透明性を高める措置も講じているという。

 まず処理に使われるクラウドサーバでは、外部から来る情報を「ノンパーマネントストレージ」に置く。データが保存されることもなければ、処理のログも残さないという。

 また、サーバの構築に使われるプログラムのコードは公開されるされるため、セキュリティ研究者が透明性の担保を検証可能とのことだ。サーバのプログラムが変更された際にはその内容も公開され、識別できないバージョンのサーバとは通信できないように措置が講じられる。加えて、プログラムの変更履歴はブロックチェーン技術を利用して追跡可能とすることで、正しい手順での開発されたものなのか、そもそも正規のサーバなのか確認できる。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください