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「Apple Vision Pro」を真っ先に体験した林信行氏が改めて考える「空間コンピュータ」の現在地

ITmedia PC USER / 2024年8月22日 12時30分

 PGA Tour Visionも、優勝した松山英樹のショットの軌道を目の前に表示される縮小サイズのゴルフ場を3Dで確認できて胸が熱くなる。

 とはいえ、これらも含め日常生活や日常業務に定着しないアプリばかりだ。

 Microsoft Word/Excel/PowerPointなど、ジャンル的に日常使いとして定着しそうなOfficeアプリもある。しかし、そのほとんどはMacやiPadから工夫なくそのまま移植しただけだ。これなら、Mac上で利用した方が他アプリとの連携もしやすく実用的で、使うメリットを感じられない。

 それでは意味がないと分かっているからか、AppleはワープロのPagesも表計算のNumbers共にApple Vision Pro用をリリースしていない。唯一、リリースしているKeynoteには「さすが」と思わせる機能がある。

 実際にステージの上に立ってプレゼンテーションをしている気分が味わえるリハーサルモードがあり、Apple製品の発表会でおなじみのSteve Jobs Theaterらしきステージなどいくつかサイズの異なる講演会場に立って講演を練習できる機能が加えられているのだ。

 こういった「Apple Vision Proならでは」の体験をちゃんと追求したアプリなら意味がある。しかし、開発者が実機を手に入れたのもわずか半年前ということもあり、現時点で出ているアプリのほとんどは、まだApple Vision Proの実機での動作確認が難しい発売前に作られたアプリがほとんどだ。

 もっとも、この状態が永遠に続くわけではない。

 2月以降は開発者も実機を手に入れている。おそらく秋のvisionOS 2のリリース後に照準を合わせて良質なアプリをリリースしてくる開発者は多いはずだ。

 そう考えると、Apple Vision Proの本番は2025年以降ではないかと思っている。

●標準機能だけでも十分に魅力的なApple Vision Pro

 では、現状のアプリが少ない状態のApple Vision Proは、数日も経てば飽きてしまう製品かといえばそんなことはない。

 Macの仮想の大型ディスプレイとして使える仮想ディスプレイ機能はかなり実用性が高い。Apple SiliconのMacであれば4K(Intelであれば3K)の解像度まで対応しておりディスプレイサイズは20型どころか拡大すれば200型くらいの大画面にもリサイズできる。ノートPCの内蔵ディスプレイでは確認できないA4書類が、印刷したときにちゃんと文字が読みやすい大きさかも原寸大で確認できるし、iPhoneで撮影した4K動画をプロジェクターで映し出した時の印象もつかみやすい。写真のレタッチ時でも写真の問題点を見つけやすい。Apple Vision Proは、大画面の快適さを携帯できるようにしてしまった点で画期的製品と言える。

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