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「Apple Vision Pro」を真っ先に体験した林信行氏が改めて考える「空間コンピュータ」の現在地

ITmedia PC USER / 2024年8月22日 12時30分

 そういう意味では、製品の形状や重さが変わるまでApple Vision ProはMacやiPad、iPhoneと連携させて、必要な時だけ装着するといった使い方が主になると思う。

●デジタルとは思えないエモーショナル体験 パノラマ写真がすごい!

 標準でApple Vision Proに用意されている魅力的な機能は他にもある。先日、AXISという媒体のために同製品の担当デザイナーにインタビューを行った。初代iPhoneからApple Vision ProまでのApple製品のインダストリアルデザインを担当してきたリチャード・ハワース氏に、すぐに伝わるApple Vision Proの魅力を聞くと「空間ビデオ」だという答えが返ってきた。

 実はApple Vision Proはただの画像表示装置ではなく、Apple製の空間ビデオ撮影用のカメラでもあるのだ。最近、訪れた三重県のVISONや倉敷の旅館などの景色を空間ビデオで収めてきた(さすがに外でApple Vision Proを装着するのは恥ずかしいので室内だが)。

 それらをVision Proで再生すると、よりリアルに旅の思い出が蘇ってくる。以前、iPhone 15 Pro Maxで撮影していた音楽演奏の様子なども、まるで本人が目の前で演奏しているような生々しい感覚が蘇ってくる。視点の位置が自分の目の高さと同じということもあり、Apple Vision Proで撮った空間ビデオの方が体験としてしっくりくる。

 とはいえ、私はApple Vision Proの写真関連の機能で本当にすごいのは空間ビデオではなく、むしろパノラマ写真の方ではないかと思い始めている。

 Apple Vision Proには、iPhoneなどで撮影したパノラマ写真の世界に入り込む没入モードがあり、これを選ぶとパノラマ写真の被写体の中に入り込むことができる。

 自分が撮影したパノラマ写真の中に入り込むというのは、撮影した当時の記憶や感動が鮮明に蘇る、何とも言い難いエモーショナルな体験だ。もちろん、最新のiPhoneで撮影したパノラマ写真だけでなく、古い解像度の低いiPhoneの写真の中にも没入できるので、気がついたら数十分間、ひたすら過去に撮ったパノラマ写真を見続けていたなんていうこともある。

 10年前にiPhone 5で撮影した解像度の荒いパノラマ写真ですら没入するのが楽しく、実は解像度よりも「その写真と自分との繋がりをどれだけ身体的にリアルに感じられるか」の方が重要だったという実感を得た(実業家の友人も全く同じ感想を語っていた)。

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