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「Apple Vision Pro」を真っ先に体験した林信行氏が改めて考える「空間コンピュータ」の現在地

ITmedia PC USER / 2024年8月22日 12時30分

 もう1つ、実用的かつ画期的と言えるのが、FaceTimeでのビデオ通話だ。自分の顔をVision Proで3Dスキャンしておくと、ウィンドウの中にApple Vision Proを外した状態の顔、ペルソナが現れて通話できることは多くの人が知っているだろう。

 しかし、すごいのはβ版の没入モードでの通話である。何と、通話相手が自分のいる部屋にちゃんとその人の実際の背丈で表示される空間ペルソナという機能だ(ただし、顔と手だけだが)。相手が座ると、顔の位置が椅子に座った位置の高さになり、通話しながら歩き回ると、それに合わせてその半身像がちゃんと部屋の中を動き回り、聞こえてくる声の方向もそれに追随して動く。全身こそ見えないが、「通話」ではなく、まるで相手が本当に目の前にいて「対話」しているような超リアルな体験を最大4人まで共有できる。

 しかも、この状態でSharePlay機能を使えば、音楽や書類、プレゼンテーションといったコンテンツを共有できる。中でも一番可能性を感じたのが、建築設計事務所の友人に設計中の建造物を原寸大で見せてもらった時だ。物置小屋ほどの原寸大の3Dオブジェの周囲を歩き回りながら解説してもらった際、「これぞ空間コンピューティング」という感じがした(現状の問題点は、複数のモデルを同時に共有して見比べることができないことと、SharePlayをする度に相手の立ち位置が勝手に変わってしまう点だ)。

 仮想ディスプレイとFaceTime没入モードでの通話は、Apple Vision Proの実用面での伸び代を感じさせる機能である。

 一方、実用面以外ではやはり最強なのは動画コンテンツの再生だ。特にApple TV+に用意された3D映画を仮想のシアターに座って楽しむ体験は格別である。これまで他のVRゴーグルでもやってきたことだが、画質が高いし音までAirPods Proをつければ立体音響で楽しめるので、体験の質がかなり違う。

 YouTubeやNetflixなど対応アプリのない動画サービスも多いが、WebブラウザのSafariを使えば楽しむことができる。ただし、YouTubeにたくさんアップされている180度VRなどの3Dコンテンツが再生できないことには驚いた。一刻も早くYouTubeの公式アプリをリリースして見られるようにしてほしいところだ。

 現状のApple Vision Proは、本体重量(約650g)の割には快適だがそれでも重いものは重い。個人差は大きいと思うが、快適に使えるのは数十分から1時間程度だろう。ヘッドレストのあるイスなどで重量を分散しても不快に感じずにいられるのは、せいぜい映画1本分の時間(2時間くらい)だと思う。

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