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「Apple Vision Pro」を真っ先に体験した林信行氏が改めて考える「空間コンピュータ」の現在地

ITmedia PC USER / 2024年8月22日 12時30分

 この体験をした人は、おそらくiPhoneでこれまで以上にパノラマ写真を撮影するようになるのではないかと思う。

 ちなみに、visionOS 2ではAI機能を用いて平面写真を空間写真のように立体化する機能が追加されるが、パノラマ写真も立体化してくれる。パノラマ写真の再生は、Apple Vision Proのあらゆる機能の中でも、最も心動かされる体験になるのではないかとひそかに思っている。

●今後の方向性を決める2代目こそ重要な製品

 このようにApple Vision Proは非常に優れた「今日買える3~5年後の未来のコンピュータ体験」だと言える。

 しかし、万人に勧められる製品ではない。そもそもすぐに役立つわけでもないものとしては約60万円と高価過ぎる(円/ドルレートに合わせて、価格の補正を行ってほしい程)。

 また、先に触れたように重たくて長時間つけるのには難があるのに加え、Appleの技術の枠を集めているはずなのに搭載するプロセッサがM2であるのも少し残念な部分だ。

 WWDCで今後、Appleのほとんどの製品に搭載されていくAI技術「Apple Intelligence」が発表されたが、Apple Vision Proはその対象製品になっていない。それもこのプロセッサの問題が大きいのではないかと推察している。

 現行のApple Vision Proは、Appleが考える「空間コンピューティング」とはどういうものかを人々に体験を通して教え、「実はAR/VRにおいては精度こそが非常に重要だった」ということを教えた非常に重要な製品だと思う。

 今後、開発者はこのApple Vision Pro品質を基準にしてアプリを開発してもらいたい、おそらくこの製品は、そんな思いで製品化され、本来なら開発者向けとして限定的に売るべきだったものだと思うが、一方で「一般ユーザーにも十分魅力的」ではあるし、一般ユーザーに出しても恥ずかしくない物としての品質のブラッシュアップも行ったため、あくまでも実験的製品として一般販売も行った――これこそが現行のApple Vision Pro販売の背景ではないかと私は思っている。

 実際、そうやってプロだけでなく、余裕のある一般の人も使ってくれれば、その人たちがどんな風に製品を活用しているかを学んで次期製品の開発の参考にできる。

 では、Appleの空間コンピューティングがもっと広く一般ユーザーにも勧められるようになるのはいつのことだろうか。

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