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大きな転換点を迎えるPCプラットフォーム Core Ultra(シリーズ2)とApple M4チップの「類似性」と決定的な「差異」

ITmedia PC USER / 2024年9月9日 12時5分

 重要かつ負荷の高い処理に対し、専用の命令セットや専用プロセッサを追加しつつ、それぞれの処理回路の汎用(はんよう)性を引き上げて、システム全体の効率を高める――このアプローチは、Apple Siliconの設計方針との類似性が見られる。しかし、ワッパの大幅な改善は、そもそもの設計の見直し(一新)による着実な成果といえるだろう。

 一方で、IntelはApple Siliconの“良い部分”はしっかりと取り入れつつも、あくまでも“PC向け”のSoC(CPU)という位置付けで、応用範囲の広さや適応できるシステム形態の柔軟性も確保している。

●Apple Siliconの「メリット」と「限界」を考える

 ここで焦点をApple Siliconに移してみよう。

 2020年にMac向けの「Apple M1チップ」が登場した時は衝撃的だった。製造プロセスの面で優位性があったとはいえ、その性能に対する圧倒的な省電力性は、直接競合しないとはいえIntelやAMDのモバイルCPU/APUがかすんで見えた。

 M1チップの成功の核心にあったのは、他社には容易に真似できない垂直統合モデルだ。CPUコア、GPUコア、Neural Engine(NPU)やDSPといったSoCの各種要素を独自開発して1枚のチップに統合し、行列演算用の命令拡張なども独自開発していた。驚異的なワッパと性能を誇るチップを生み出した背景には、搭載(採用)する最終製品が明確で、どのようにユーザー体験につなげるかを意識してSoCを開発できた点に尽きる。

 搭載するハードウェア、ソフトウェア、そして連携するネットワークサービスに至るまで、完全な“統制下”にあるコンピュータは他にない。

 この長所を生かすため、Apple Siliconでは共有メモリアーキテクチャを採用した。全てのプロセッサが扱うデータが同じメモリプールに置かれるため、均等なアクセスが可能な他、余計なデータ転送を行うことなく分業もできる。

 ただ「メリットはデメリットでもある」とは言ったもので、このApple Siliconのアーキテクチャには“限界”もある。

 「Apple M2 Ultraチップ」では最大192GBものメモリを搭載する構成を選択可能で、今後登場すると予想される「M4 Ultraチップ(仮)」では、より多くのメモリを統合できるようになるかもしれないが、全プロセッサから高速かつ均一の帯域でアクセスできる共有メモリアーキテクチャは、システム構成の柔軟性の面はもちろん、コストの面でも大きな“制約”を抱えてしまう。

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