約5万円切りのMRヘッドセット「Quest 3S」に触れた 低価格化で空間コンピューティングを攻めるMeta、ARグラス「Orion」による技術革新も間近に迫る
ITmedia PC USER / 2024年9月26日 17時5分
特にカラーパススルーの映像はほぼ同じと言っていい。VRゲームに興味を持つ層だけではなく、MRデバイスをPCなどの拡張ディスプレイとしても使いたい人にも向いている。機能的にはQuest 2からのアップグレードではなく、よりカジュアルにQuest 3を楽しむため、普及に対して野心的に挑戦する姿勢から生まれたお買い得製品といった印象だ。
特に価格が300ドルを切ったことで、北米では年末商戦での目玉商品になる可能性があるだろう。VR向けアプリケーションはMetaのHorizon OS向けにタイトルが集中しているが、その傾向がさらに強まることは間違いなさそうだ。
●“真のARグラス”をうたう「Orion」も披露
Metaは同じイベントで「Orion」というARグラスの試作品も披露した。
同社が約10年の歳月をかけて開発した、独立型のホログラフィック(と、彼らは呼んでいる)ARグラスのプロトタイプだ。このデバイスをマークザッカーバーグ氏は「世界で最も高度な眼鏡」と呼んだが、確かに興味深い機能を備えている。
このARメガネが搭載するディスプレイは視野角が約70度と広く、高解像度で細部まで表示できるという。このディスプレイを実現するため、レンズ部の周囲に超小型のプロジェクターを配置し、ナノスケールの3D構造を持つウェーブガイドを通じてレンズ内に映像を投影する。
周囲の照明条件が変動しても、実用上、問題のない明るさを保ち、シアターレベルのディスプレイを空間上に表示したり、複数のディスプレイを同時に表示したりできるという。
映像は透明なレンズの中に投影されるため、ユーザーは一般的なARグラスと同じように、現実世界とデジタル情報の融合した風景を見られる。
搭載するチップはMetaの独自設計で、眼鏡のフレームに収まるバッテリーで駆動するほど省電力設計だという。現時点で、バッテリー駆動時間は公開されていない。
操作性に関わるインタラクションの方法もユニークだ。音声によるAIコントロールやハンドトラッキング、視線トラッキングに加え、手首に装着する神経インタフェースを通じて、細かなジェスチャーを検出できる。この神経インタフェースにより、公共の場で声を出さずに細かな操作ができるという。
現在の開発状況としては、当初目標の多くを達成しているが、さらにディスプレイシステムの鮮明さの向上、デザインの小型化と洗練、製造コストの削減を主な課題として引き続き開発を進めているという。
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