上意下達文化からの脱却 危機的状況のパナソニックを打開するために楠見グループCEOが掲げる「啓」から「更」
ITmedia PC USER / 2025年1月8日 10時5分
―― 危機的状況を脱却できる出口には到達しているのですか。
楠見 まだ危機的状況のさなかにあります。しかも、これは一瞬にして良くなるというものでもありません。今やらなくてはならないのは、テコ入れのスピードを上げることです。パナソニックグループは、2022年4月から事業会社制を導入し、事業に関することは事業会社に任せることを基本にしています。
しかし、改革のスピードが遅いのであれば、ホールディングスがもっとテコ入れをしないといけません。それをやらないと、何のための持株会社なのかということが問われかねません。株価を見れば、やはりコングロマリットディスカウントの状態になっていると言わざるを得ません。
一方でソニーグループは、当社以上に事業の幅が広く、コングロマリットだといえます。それでも、しっかりと利益を出しているから、投資家はそれを正しく評価しています。パナソニックグループも、そこを目指してきましたが、抜けきれないところがあったという反省があります。一部で成果が出ていても、全体で見たときには成果が出ているわけではないからです。
―― 日立製作所やソニーグループと比較すると、事業の枠を超えたシナジーが、パナソニックグループには見られません。これは、構造的に難しいことなのか、それとも他に問題があるのでしょうか。
楠見 パナソニックグループは、「縦軸」が強すぎる体質であることは否めません。B2CとB2Bでは完全に顧客層が違いますから、お客さま視点でビジネスを捉えると、シナジーが生まれにくいのは確かです。
また、グループ全体で共通した技術シナジーというものもありません。しかし、B2Cの領域の中でのシナジーや、B2B領域という切り口においてシナジーを実現できる可能性は大いにあります。ここは、もっと追求していかないといけない部分であり、やれる余地はまだまだ大きいと思っています。
B2Bでは、お客さまに対して、さまざまな製品を提供するといったように、顧客軸でのシナジーはやっていかなくてなりません。さらに、内部のオペレーションという点では、社内で利用するERP(Enterprise Resource Planning)を標準化して、効率を上げるといったことでのシナジーも追求できると思っています。
これまでできていないということは、チャンスはまだまだあるということです。とはいえ、シナジーばかりを追求して、これまでのやり方を180度変えるというのでは、お客さまに納得してもらえません。
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