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上意下達文化からの脱却 危機的状況のパナソニックを打開するために楠見グループCEOが掲げる「啓」から「更」

ITmedia PC USER / 2025年1月8日 10時5分

 そのためには現状を常に疑い、“更”に新しいやり方に変えていかなくてはなりません。現状維持は衰退を意味することになります。挑戦を重ね、成長を遂げていかなくてはなりません。

―― 楠見グループCEOは、今のパナソニックグループを捉えて、「危機的状況」と表現しています。どの部分を「危機的状況」と捉えているのですか。

楠見 2024年度を最終年度とする中期計画で掲げた経営指標は、累積営業キャッシュフロー2兆円、累積営業利益1.5兆円、ROE10%以上の3つですが、累積営業キャッシュフロー以外は未達です。掲げた目標を達成できないことは、危機的状況といえる理由の1つです。

 そして、先に触れたように上意下達の組織風土が残っていることも、危機的状況であるといえます。さらに、上が言ったことが目的化してしまう「病気」が、そこかしこにあることも見逃せません。

 例えば、かつての中期計画においては、営業利益率5%という指標を掲げていました。これは、ハードルレートとして掲げたもので、5%未満の事業は切り離すというメッセージでした。しかし、これが、5%を達成すればいいというように目的化してしまい、さらに、いまだに「5%に到達すればいい」という誤った認識が残っている。

 事業を継続するために大切なことは、他社よりも高い利益水準にあることです。攻めようとしている領域においては、競合よりも高いシェアを取り、効率よくオペレーションをして、競合よりもいい商品を早く出して、競合を上回る利益を出している状態にするのがパナソニックグループが目指している経営です。「そこそこ利益を出していればいい」ということが、常識としてまかり通っていること自体に問題があり、それは危機感が足りないということでしかありません。

 私が社長に就任して最初に決めたのが、単年度利益には目くじらを立てないということです。単年度の利益を追うと、どうしても5%のような数字が目標になり、それを達成するために費用を削減しようとする。その結果、必要な投資をしないという悪循環に陥ります。

 ですから、3年間累積営業キャッシュフローやROICを経営指標に掲げました。しかし今度は、この数値だけを重視し、それを目的化してしまう。この「病気」は、パナソニックグループの危機的状況の象徴です。2022年度に中期計画を打ち出して、3年間を経過した時点で「危機的状況」と表現しなくてはならないのは、正直なところ、とても悔しい思いです。

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