[Japan In-depthチャンネルニコ生公式放送リポート]【安保法案成立、これから日本はどこへ行く】~中野晃一上智大学教授に聞く~
Japan In-depth / 2015年10月2日 11時0分
9月19日に安保法案が可決・成立した。可決されるまでの間、国会前で多くの国民が反対デモに参加し、国会では軸のぶれた議論が行われ、荒れに荒れた様子が報道された。今回のJapan In-depthと週刊朝日のコラボ放送では、安保法案を巡って見えたデモ参加者や国会議員の姿を踏まえつつ、安保法案可決により、今後の日本がどのように変化するのかを議論する。ゲストには、上智大学国際教養学部教授中野晃一氏 週刊朝日記者古田真梨子氏を招いた。
国会前のデモの様子は、連日メディア各社により報じられた。なぜこれほどまで多くの人がデモに参加したのか。中野氏は「組織的な動員ではなく、老夫婦や子連れなど、多様な世代が参加できたのは、デモ主催者の雰囲気作りが功を奏したからと言える。もちろんデモ参加者の誰もが安保法案に対して怒りを抱いていたが、それと同時に彼らは、自分の意見を主張できる場ができたという喜びを見出していたのではないか」と指摘した。また「若者の力が大きく影響したのか」というAyaの質問に対し、「きちんと勉強した学生が、自分たちの言葉で演説をした。その姿に、学生でない層も鼓舞され、多様な年齢層の参加を促したと言える」と答えた。
国会前のデモが活発に行われたのに対し、国会内の議論は低迷した。「安倍総理の政権運営は妥当だったか」と安倍編集長が尋ねると、中野氏は「違憲立法というスティグマを初期の段階で拭えず反対意見を強めたこと、そして与党が『安保法案のメリット』ばかりを訴えたことにより、議論が深まらず、法律としても国会答弁としても生煮えなまま終わってしまった」と述べた。
また安倍編集長が「与党の軸がぶれる一方で、野党が対案を出さなかったことも問題だったのでは」と指摘すると、中野氏は「世論調査よる反対意見が大きかったため、野党は反対せざるを得なくなった。法案の修正協議でも対案は採用されなかったが、修正協議には安倍首相寄りの野党議員が多く参加したため、自民党によって形を整え行われたにすぎない」と指摘した。
今回の安保法案成立で行われた「解釈改憲」は、戦後70年の間に政府が行った解釈とは異なる。中野氏は「解釈改憲そのものは悪いとは思わないが、今回の解釈改憲は9条の縛りを超えてしまっている。違憲かどうかが議論されてきた自衛隊も、9条に沿った活動により国民に受け入れられてきた。今回の解釈改憲で、『何でもあり』が許されるのではないか」と懸念を示した。
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