日本企業はグローバル化できるのか? その3 産業革新機構 志賀俊之 代表取締役会長
Japan In-depth / 2016年2月15日 9時51分
安倍宏行(Japan In-depth 編集長・ジャーナリスト)
「編集長の眼」
「企業のグローバル化」が叫ばれて久しい。日本企業が直面している課題、グローバル化を進めるために必要なことは一体何か。官民共同出資の投資ファンド、産業革新機構の代表取締役会長である志賀俊之氏に、Japan In-depth編集長安倍が聞いた。
-(安倍)何をもって「グローバル企業」と呼ぶのか?
かつては日本を中心に海外へ出て行くのがいわゆる国際化だった。しかしグローバル化というのは、球体の地図の視点が必要。球体の地図というのは、すべての国が中心であるということ。平面の地図だから日本が中心に見えるけれども、球体の地図だと、日本も中国も中心に見える。私の定義でグローバル化というのは、世界の市場がそれぞれ主人公になった、つまりすべての国が、平等に我々のマーケット・拠点であるということだ。
1980年代の強かった時の日本というのは、日本のマーケット向けに作った商品が、品質も良くて価格も安かったので世界に受け入れられた。これからは、中国・タイ・インド、それぞれのマーケットにあったものを作りながら、それを極力ユニバーサルに統一させていく。
例えば、iPhoneは25カ国で同時発売ということをやるが、日本というのは未だに世界に同時発売できない。最近になって海外のマーケット用の商品を作る会社が出てきたが、基本的には日本中心。グローバル化の為には、「日本発」と言う発想から完全に脱却できるか、という視点が重要である。
日本が今グローバル化で一番苦労しているのは、一言で言うと人材である。M&Aで日本の会社が海外の会社を買っても、その会社を日本人が経営出来ず、現地に任せてしまう。ビジネスとしてのグローバル化はあるけれども、人材としてのグローバル化を本当に我々はやっているのか。
私の考えるグローバル化というのは、それぞれの国の最適な人材を活用することだ。何となく海外の企業を買収しよう…というのではなく、日本の経営のDNAを受け継ぐかつグローバルな人材を育て、お金と人をセットで持っていかなくてはいけないのではないか。
-(安倍)アメリカで生まれたAppleやamazonなどのような、“プラットフォーム企業”が日本で生まれないのはなぜか。日本でもIT系の企業が重厚長大の企業を食っていくことになるのか?
ソフトをベースにしてハードを作る会社と、ハードベースでソフトを入れた会社の戦いが始まってくるのだろう。この点に関して日本はまだ1、2周回遅れの状況だ。その理由は、日本がソフトも自分たちで開発したいと考える「自前主義」にある。
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