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高まるフル規格待望論 九州新幹線長崎ルート 

Japan In-depth / 2016年5月10日 7時0分

高まるフル規格待望論 九州新幹線長崎ルート 


村上智博(産経新聞九州総局)


「Kyushu In-depth」


九州新幹線長崎ルート(博多―長崎)について、国と佐賀県と長崎県、運行主体のJR九州などの6者が3月末、在来線特急と新幹線を乗り継ぐ「リレー方式」によって平成34年度に暫定開業させることで最終合意した。


開業遅れが懸念された長崎ルートの整備は、大きく前進する。博多―武雄温泉(佐賀県)は特急に乗り、武雄温泉駅のホームで新幹線に乗り換える。博多―長崎は1時間26分で、現在の特急に比べ22分短縮となる。リレー方式導入には、約70億円の追加工事が必要となる。


開業時に並行在来線として佐賀、長崎両県がJR九州から購入する予定だった肥前山口―諫早間の線路など鉄道施設を、無償譲渡することにし、両県の追加負担を実質ゼロとする。


今回の合意は、スケジュールを優先した暫定案であり、その他の課題に目をつぶったと取り敢えずの決着といえる。沿線自治体から鹿児島ルートと同じ全線フル規格を求める声は強まり、与党内からも「改めて議論すべきだ」との声が公然と出始めた。


■34年度開業優先 与党委「改めて議論」


九州新幹線長崎ルートは3月29日、当初の予定通り平成34年度にリレー方式で開業することで、ひとまず決着した。       


合意文書の調印には、与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームの九州新幹線検討委員会委員長の山本幸三衆院議員(福岡10区)、佐賀県の山口祥義(よしのり)知事、長崎県の中村法道知事、JR九州の青柳俊彦社長らが出席した。


国土交通省九州運輸局(福岡市博多区)の会議室で、報道陣をシャットアウトし、約20分の協議を済ませ、文書に署名した。中村氏は記者団に、「道筋を示してもらった。34年度に向けて頑張ります」と安堵の表情を見せた。


■地元真っ二つ


長崎ルートは、在来線と新幹線という幅の違うレールをどちらも走れるフリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)を用いて、平成34年度までに開業する計画だった。ところが26年、試験走行中のFGTに重大な異常が見つかり、開発が暗礁に乗り上げた。


地元の意見は2つに分かれた。


長崎県は34年度という開業時期にこだわった。県内での工事が進み、発着点である長崎駅前の再開発事業もスケジュールに沿って進んでいるからだ。長崎県は、リレー方式でもよいから開業時期を厳守するよう求めた。国交省や与党でも同様の意見が出た。


だが、佐賀県はリレー方式に難色を示した。知事の山口氏は「平成34年にどうしてもとは申し上げないが、FGTは侃々諤々の議論を経た重い結論であることを認識すべきだ」とFGTにこだわった。財政負担が大きいことが理由だ。


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