小池氏の勝因とメディアの課題
Japan In-depth / 2016年8月1日 10時39分
安倍宏行(Japan In-depth 編集長・ジャーナリスト)
「編集長の眼」
終わってみたら小池百合子氏の圧勝だった。2位の増田寛也候補に100万票以上の差をつけた。選挙期間中、有力3候補の街頭演説会を中心に取材して当然の結果だった。長年、国政にしろ地方にしろ、選挙取材をしていると、民意の“勢い”を感じる時がある。例えば小泉郵政選挙の時などは典型的な例だった。うねりというか、有権者の期待が一気に高まって熱気となり、それが次々と相手候補を粉砕していく。それは現場にいると、数字に表れるより前に体感できるものだ。だからこそ選挙区に取材に行くのは極めて重要なのだ。選挙の結果は、有権者一人一人が作るものだなあ、と改めて実感しないわけにはいかない。
さて、今回の都知事選である。言いたいことは山ほどあるが、小池氏の勝因について、まず、与野党それぞれの候補者選定について見てみよう。
■野党候補者選定のドタバタ
与党、野党、どちらも候補者選定に迷走した。とりわけ、目も当てられなかったのは野党だ。参院選から、民進、共産、社民、生活の4党が共闘し、統一候補を立てたことは記憶に新しい。今回の都知事選でもこの路線は貫かれた。しかし、候補者の一本化への道程は余りに長かった。
名前が挙がっただけでも、蓮舫参議院議員、元鳥取県知事片山善博氏、タレントの石田純一氏、元通産官僚、“I’m not ABE.”で一世を風靡した古賀茂明氏、と続いた。気の毒なのは人選に必死に動いていた民進党都連会長の松原仁衆議院議員だろう。結局11日に民進党党本部、すなわち岡田代表から、野党統一候補として鳥越俊太郎候補で一本化した、と伝えられたのだから、松原氏の心中察するに余りある。
そうした中、2012年の都知事選挙に初出馬して98万票を獲得し2位につけ、知名度抜群の元日弁連会長の宇都宮健児氏は、13日午後2時東京千代田区の日本記者クラブで行われた共同記者会見で出馬の意思を鮮明にしていた。野党内で候補が一本化出来ていない状況を露呈してしまったわけだ。結局、その後、宇都宮氏は立候補を取り下げたが、政策面でどう折り合いをつけたのか、どのような説得工作が行われたのか、さまざまな憶測を呼んだ。
その後、週刊文春の報じた鳥越候補の醜聞も手伝って苦戦が伝えられる中、松原氏が宇都宮氏の応援演説をお願いしたい、とテレビカメラの前で語ったが、氏が鳥越候補の応援演説に駆けつけることはなかった。
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