自衛隊に駆けつけ警護できる戦闘能力はない その1 情報編
Japan In-depth / 2016年11月1日 18時0分
「駆けつけ警護」という実際の交戦の場では情報収集と分析、火力、防御力、衛生などの要素が必要であるが、いずれにしても陸自のレベルは、NATO諸国はもちろん、途上国よりも劣っている。この点を多くの日本人は理解していない。
今回はまず自衛隊の情報体勢を取り上げてみよう。まず駆けつけ警護が必要なのか、必要であるならばどのような状況であるのかをできるだけ正確に把握する必要がある。軍隊ではこれをISR( Intelligence, Surveillance and Reconnaissance:情報・監視・偵察)と呼ぶが、この能力が自衛隊は極めて低い。まず情報機関がないために、現地情報、特にヒューミント情報(注1)が入ってこない。また人的なネットワークが現地に存在しない。またアフリカや中東に関わりが深い、英国やフランスとの連携も不十分だ。
最近増員された防衛駐在官にしてもその地域のエキスパートというわけでも情報の専門家でもなく、派遣に際して十分な訓練もされていない。しかも情報活動に必要な予算も極めて少ない。これは外交の一元化という名の元、本来防衛省が担当する情報収集を防衛省が放棄していることも大きい。陸自に至っては、歩兵、砲兵、工兵、機甲などと並んで諸外国では当然存在する情報科という兵科が6年ほど前まで存在すらしなかった。それだけ情報を軽視してきた組織ということだ。
更に現地で情報を収集するためにUAV(Unmanned aerial vehicle : 無人機)などのアセットが必要だが、これが欠如している。対して近年は途上国ですら、各部隊サイズの偵察用UAVを保有している。日立が開発し、陸自が採用した手投げ式の携行型UAV、JUCX-S1は高度計に不備があり、飛ばした半数が帰ってこない体たらくだ。しかもこれすら筆者が知る限り現地に持ち込まれていない。
陸自にはより大型のヘリ型遠隔操作観測システム、その発展型である無人偵察機システムが存在するが信頼性が低く、先の東日本大震災では一度も使用されなかった。その後国会で防衛省は、無人偵察機システムは導入後1年で習熟期間が足りなかったと抗弁したが、今年発生した熊本地震でも使用されなかった。しかも支援用の地上システムが6両ほどの車輌からなる大掛かりなものであり、PKO用には向かない。そしてその後調達は中止された。
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