自衛隊に駆けつけ警護できる戦闘能力はない その1 情報編
Japan In-depth / 2016年11月1日 18時0分
これら以外のUAVを陸自は保有していない。つまり陸自のUAVは極めて少ない上に、その信頼性も極めて低い。これは中国やパキスタン以下である。とても先進国の軍隊を自称できるレベルではない。
イラクのサマーワに部隊を派遣した際に、陸自はヤマハの民生用の小型のヘリ型UAV、RMAXを改良したUAVを導入した。これは信頼性も高く、大活躍したのだが、その後は使用されなくなっている。陸自全体の装備としてはともかく、「実戦」で有用であることが認められた装備をPKO用として継続して使用することが何故できないのか。
またそれ以外にも国内には優れたUAVを開発している、フジインバック、ヒロボー、その他多くのメーカーが存在し、防衛省の装備調達庁が開発するUAVよりも遥かに安価で性能と信頼性が高い製品を供給している。だが、防衛省は既存の防衛企業でないためか、これらの企業から無人機を調達して使用するという発想が欠如している。あるいはこれらの企業には天下りできないからではないかと疑われても仕方あるまい。
通信機も問題だ。陸自では近年最新型の広帯域多目的無線機を導入したが、通じないことが多いと現場で不評である。無線機に関する話題では、伏せてアンテナの位置が低くなる、あるいはアンテナが横向きになるだけで電波の送受信状態が悪くなり、通信が途絶するというコントのような話も聞こえてくる。原因は自衛隊向けの電波の周波数帯が軍用無線に適していないことだ。これは先の東日本大震災でも陸自の無線が通じなかった大きな要因だったが、防衛省はこの「戦訓」を無視している。これは法律の改正すら必要なく、総務省との調整が必要なだけだ。だがそれすら怠り、通じない無線機の調達を続けている。
現代戦ではネットワーク化が進み、無線通信は音声だけではなく、データや動画のやり取りも行われる。例えば敵の情報を動画や、デジタルマップ上の情報で、やり取りし、射撃の諸元などもデータでやり取りする。この分野では自衛隊は大きく遅れており、未だに音声通信と紙の地図を多用している。仮にNATO並の装備を導入しても無線が通じないなら無意味であり、カネの無駄だ。
「駆けつけ警護」の現場で無線が通じなければどういうことになるだろうか。素人にも分かる話が防衛省や陸幕の偉い人たちにはわからないようだ。
何故周波数帯の問題が放置されているのだろうか。恐らくは総務省の調整という「余計な仕事」をしたくないからと、これを非関税障壁として利用しているからだろう。外国製の通信機やネットワーク機器、更には無人機に至るまでそのままでは自衛隊で使用できない。この規制がある限り国内メーカーは保護される。国内メーカーは、実戦はもちろん市場で揉まれたこともないので、まともな製品が作れず、調達コストも高い。このような国内メーカーの維持を、天下り先の確保のために実戦能力を放棄することを甘受しているならば許しがたい。
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