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自衛隊に駆けつけ警護できる戦闘能力はない その2 火力編

Japan In-depth / 2016年11月7日 23時0分

多くの国の軍隊が40ミリ(ロシア系は30ミリ)グレネードランチャーを採用しており、陸自のみがひとり、ライフルグレネードを21世紀になって採用するのは極めて奇異である。ぞもぞも、破壊力が大きい武器の射撃精度が劣ることは現代の用兵思想そのものから外れている。

またグレネードランチャーは直接照準によって、射撃が可能であり敵のバリケードやバンカーなども攻撃が可能だが、ライフルグレネードではこれができない。当然ながら曲射によって、バリケードの背後に隠れた敵を攻撃することができる。常識的に考えれば先進国に限らず、途上国ですらグレネードランチャーを採用しているなか、わざわざ自分たちのみがライフルグレネードを選択することを奇異と思わなかったのは、軍事常識が欠如しているからだろう。

自衛隊の使用する9ミリ拳銃はシグザウワーのP220を国産化したものだが、装弾数は9発であり、最近の9ミリ自動拳銃の主流の15~17発と比べると弾数が少ない。室内戦闘や市街戦での近接戦闘では拳銃が使用されることが少なくない。この際に弾数がモノを言う。防弾ベストやヘルメットの防護機能が向上している現代戦において、拳銃弾が効力を発揮する部位は顔面に限られるようになった。小さくてよく動く顔面に拳銃弾を何発も撃ち込むには、相応の弾数が必要となる。完全に時代遅れだ。またコンバットシューティングに適したホルスターやマガジンポーチなども支給されていない。

諸外国のライフルにはドットサイトと呼ばれる等倍率の光学照準器や、4~6倍程度の光学式照準器が装着される。前者は接近戦闘において極めて迅速な照準が可能となり、後者は屋内戦闘における敵味方の識別や遠くの目標の射撃に有利となる。両者を複合したり、脱着式にして倍率を可変することが可能な光学式照準器も存在する。これらと組み合わせる暗視装置も存在する。また夜間に使用する高輝度のタクティカルライトもよく使用される。これは敵を照射するだけではなく、敵からの射撃を妨害することもできるし、非致死性武器としても身体に外傷を負わせるおそれが少ないため大変有効である。

これらは小銃に設けられたレールマウントと呼ばれるマウントに装着することができる。だが陸自の89式小銃にはレールマウントはなく、またこれらの装備は官給品として存在せず、一部の部隊や個人が自費で装備している。つまり夜間を含めて素早く正確に照準することは難しい。一瞬の差が命取りになる戦場において陸自部隊は極めて不利な立場にある。これまた時代遅れであり「駆けつけ警護」で武装勢力などに対して優位を得られずに、味方の犠牲者を増やす要因となるだろう。

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