ワシントンvs国民の対立は続く
Japan In-depth / 2016年11月24日 18時0分
しかし、移民を受け入れてきたことがアメリカの活力になったのではないか、移民を追い出すと活力を失われるのでは、と安倍編集長は指摘。それに対して信田氏は、「移民はまず最下層。(移民が増えることによって)一世代前のアメリカ人よりも今の世代のアメリカ人のほうがいい暮らしをしているというアメリカンドリームがそうなっていない。新しい移民が入ってくることによってランクアップされるかというとそうではない。そこに大きな問題がある。」と答えた。
下層とされるはずの移民が増えて、自らの階級が上に上がらない現状、つまり底上げがされていないことに対する白人層の不満があったということだ。
また、トランプ氏の勝利が決まった際、日本でも「番狂わせ」「衝撃」といった見出しが回り、前々からヒラリー氏が勝つだろうという風潮だった。アメリカのメディアも、たとえばNYタイムズなどは80%以上の確率でヒラリーが勝つ、と書いていたようだ。これはメディアの失態ではないか、という安倍編集長の質問に対し、信田氏は「メディアの失態として二つ挙げられる。」と答えた。それは、
1、 終始トランプを道化者として真剣に扱わなかったこと。
2、メキシコに壁を作るなどといった発言によって、ヒスパニックとかアジア人の投票が増えることに注目したこと。投票率が従来低かった白人労働者層に注目しなかったこと。
結果、白人労働者は投票に行き、トランプ氏は彼らから圧倒的な支持を得た。
メディアが注目した、ヒスパニック。彼らが多い州で、ヒラリー氏は必ずしも勝てるわけではなかったようだ。現に、フロリダはヒスパニックの数からしてヒラリー氏優勢と伝えられていたが、トランプ氏が勝利。それに対して井上氏は、「リタイアした白人」の存在があったと述べた。フロリダ州ではリタイアした年齢層の高い白人が一定数移住していて、ヒスパニックよりも彼らが優勢だったと分析した。
信田氏も、「ヒスパニックはトランプに対する反感を持っていると思う。ただヒスパニックが全員ヒラリーに入れているかといわれればそうではない。」と述べた。
また、ヒラリー氏支持が多いとされていた女性だが、井上氏によると、「周りでは、(トランプは)やはり暴言が激しいのでそれに対して、支持するというのはいえない。」とした上で、「ただ、女性だからといってヒラリーを応援したくない、女性だから応援するわけではない。大統領にふさわしい人を選ぶ。」と考える人もいた、と述べた。
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