読後感:「仮想通貨」の衝撃・「遊びと人間」
Japan In-depth / 2017年1月7日 18時14分
為末大(スポーツコメンテーター・(株)R.project取締役)
仮想通貨の衝撃を読みました。
てっきりブロックチェーンがらみのことが書いてあると思ったのですが、主にソーシャルゲーム内の仮想通貨(マイルやポイントなども含む)をどう捉えるかという話でした。以下、ポイントをまとめると
・すでに仮想通貨は結構使われている
・国が発行する紙幣にはなんの根拠もなくみんなが信用するから、通貨として存在していられる
・通貨の三つの役割に、喜びを与える、という役割も加えるべきではないかという問題提起
・仮想通貨に課税すべきか云々
・この著者すごいゲーム好きなんだなというのがひしひし伝わる
あまり詳しくない分野だったので、そもそもの紙幣の成り立ちや(元々は銀行が勝手に発行していたのがはじまりだそう)国家が金本位制から今のようになったのも案外最近だとか、勉強になりました。
よくお金の正体は信用であると言われますが、少しだけ理解できたような気がします。家にあったので持ってきたのですが、そもそもこの本は誰にもらったのか忘れてしまいました。興味のある方はどうぞ。
実家にあったので久しぶりに引っ張り出して読んでみました。カイヨワの遊びと人間です。
私はホイジンガのホモルーデンスが好きなのですが、同じく遊びから社会を考えたカイヨワの本です。遊びとは何かというよりも、社会の中にいかに遊びの要素が認められるか、また遊ぶとはどういうことをかを考えさせられる本です。まずカイヨワは遊びを四つに分類します。
アランー 競争(スポーツ、チェスなど)
アレアー 運に委ねること(ギャンブル、トランプなど)
ミミクリー 模倣(演劇、ごっこ遊び)
イリンクスー 目眩(遊園地、飲酒など)
特にイリンクスを遊びとして持ってきたあたりがカイヨワのすごさなのだと思います。あと、この四つの遊びが、パイディア(自由になろうとする力、原初の形)とルドゥス(恣意的に強制に向かう)のどちらかによっていると書いてもいます。スポーツはアランでありルドゥスに寄っていると言えそうです。
面白いのはカイヨワ(ホイジンガもですが)によれば、遊びとはそれそのもので完結するものであり、何かの目的を持ってしまえばすぐに遊びは消滅してしまうと捉えているところです。彼は、賞金を目的としたプロスポーツは純粋な遊びではなく、遊びからの堕落だと捉えています。
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