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フィリピンの「山下財宝詐欺」、日本の「新紙幣詐欺」…詐欺師が流行に敏感なワケとは? 丸山ゴンザレス「裏社会の秩序みたいなものも、もう崩壊していっている」

集英社オンライン / 2024年4月27日 20時28分

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フィリピンに眠る「山下財宝」という都市伝説を用いた詐欺とは。7月3日より発行される日本の新紙幣はどうなるのか? そして、詐欺を働く人間たちによる詐欺師同士の最終戦争は起こるのか?

【画像】7月から発行される新紙幣もすでに詐欺の対象に…?

YouTube累計登録者数300万人のナオキマンと、登録者数120万人の丸山ゴンザレスが、都市伝説と裏社会の視点から世界の闇に迫った『ヒトコワ都市伝説』より一部抜粋、再構成してお届けする。

山下財宝に踊らされる人々

丸山 日本では「実はM資金は実在していて、それを運用しているんだけど」という謳い文句で詐欺をするM資金詐欺がありました。それと同じようなもので、フィリピンで「山下財宝詐欺」というのがあります。



ナオキマン 山下ということは、日本人と関係する財宝ということですか?

丸山 そうです。第二次世界大戦中、日本陸軍の山下奉文将軍が東南アジアで接収した金塊を日本に輸送しようとしたものの、連合国軍の攻撃が激しかったために断念して、フィリピン国内に隠した、という都市伝説です。

で、これがM資金と同じように詐欺に使われているんです。よくあるのが「あと1メートル掘れば山下財宝が出てくるってところまできてるんだけど、資金が尽きてしまったから援助してくれないか」というものです。
 

ナオキマン 冷静に考えると、なんであと1メートルってわかるんだよ、ってなりますよね(笑)。

丸山 山下財宝は海の底にある、という説もあります。確かに、日本軍があとでとりにくるつもりだったら、見つかりにくい船に隠したとしても、おかしくはないですよね。

実際、日本のあるグループが、フィリピンの近海で沈没船があるというのをソナーで探し当てたことがあります。

そこに山下財宝があるはずだって言ってダイバーも用意して探索に行ったところ、フィリピン政府からストップをかけられたんです。この海域には立ち寄るな、と。
 

ナオキマン 雲行きが怪しいですね。でも本当にそこに財宝があって政府が把握してるなら先に拾ってるはずですよね。

丸山 そうなんですよ。で、この真相が、僕がまったく別の取材をフィリピンでしているときにわかったんです。現地の人とお酒を飲んでいて「なんか港のほうは警備が厳しいんですよね」という話になったんです。

そしたらその現地の人が「しょうがないよ港は」って言うわけです。何かあるんですかと尋ねたら「フィリピンのゴミの量を考えたことある? スモーキーマウンテンでおさまるわけがないじゃん」って言うわけですね。

つまり政府が港にゴミを不法投棄していると言うんです。考えてみたらあんな狭い国ですから、ゴミを埋め立てる場所がないっていうのはわかります。

ナオキマン 山下財宝とはまったく関係ないところで、政府の闇が発覚したと(笑)。じゃあ山下財宝の実在を示す、信憑性のある話は特にないんですか?

丸山 基本的には証拠も信憑性のあるストーリーもない都市伝説ですね。でも今、フィリピンに山下財宝を掘り当てたんじゃないかって言われてる大富豪が3人いるんですよ。突然大金持ちになって財閥をつくった人はいるんです。

ナオキマン 面白いですね。ロマンがあるな、それは。

詐欺師は流行に敏感

丸山 M資金や山下財宝のような話は今聞くと「そんなのに引っかかる人いるの?」と思われるかもしれませんが、最近多い仮想通貨関係の詐欺も将来的にはそう思われるのかもしれませんね。

ナオキマン 「新しい仮想通貨ができるから投資しない?」と言ってお金を集めるようなやり口ですか。

丸山 そうですね。裏社会には新しいもの好きが多いのでそういうのに引っかかる人も結構いるようですが、よくよく話を聞くと構造としてはネズミ講みたいなものなんですよ。
 

ナオキマン 誘った相手がさらに次の人を誘って……と増えていく。

丸山 そうです。今、「1000円でこれを買って、誰か友だちも誘ったら2000円になるよ」って言われたら誰でもネズミ講だって気づきますよね。

だからそれを、「これこれこういう仮想通貨を開発していて、今のうちに投資するとこれくらいになって戻ってくるんだけど投資家を集めてて、さらにそこにはこんな保障があって」とそれらしい話でコーティングするわけです。

ナオキマン 確かに流行りのワードを使った詐欺っていつの時代もありますよね。都市伝説界隈だと、新紙幣が発行されるときに預金が封鎖されるって言われるんですよね。
 

丸山 2024年には日本でも新紙幣が発行されますね。

ナオキマン そうです。なので今のうちに預金を別のところに動かしておきましょう、っていう詐欺もあると聞いたことがあります。

丸山 もう話題になることは全部やるんですよね。そこで注意したいのが、物を知らない間抜けな人が詐欺にかかりやすいかというと、必ずしもそうでもないんですよね。
 

ナオキマン 仮想通貨などは、ある程度アンテナを立てていて早めに興味を持った人のほうがかかったかもしれませんね。

丸山 ええ、そうです。それに知識があったりやっている仕事のレベルが高いからこそ詐欺に気づかないケースというのもあるんです。僕の知っている例だと、とあるお金持ちの人が知り合いから「この会社に役員として籍だけ置いてくれたら毎年1億円入ってくる」って言われたらしいんですね。

ナオキマン え、それで置いたんですか?

丸山 そうなんです。というのも、その人はとある事業で大成功したあと今は半引退していて、デイトレードで毎日何億、何十億と動かしているような人なんです。

僕らからすると籍を置くだけで1億なんてそんな話あるわけないだろと思いますけど、そういう人からすれば「ふーん、1億ね、わかったよ」と感じてもおかしくない。
 

ナオキマン 確かに1億円が僕らにとっての1万円くらいだとしたら、ちょっとお得な話だからまあやっておくか、となっても不思議ではないですね。

丸山 それで「ちょっと経費がかかるんで立て替えてくれませんか」みたいな形でちょくちょくお金を出させられたりして、何年かしてから詐欺だと気づいたという。

ナオキマン 扱う金額が大きすぎると正常に判断できなくなるのかもしれませんね。
 

丸山 M資金にせよ山下財宝にせよ、そういう構造だったんだと思います。しかもそうやってお金を持っている人というのは、新しいものに興味を持ったりチャレンジしたりする人が多いですからね。

ナオキマン だからこそ成功者になっている、という人も多いでしょうからね。

詐欺師の末路

丸山 詐欺をするほうに目を向けると、だいたいは悲惨な目に遭っていますね。

ナオキマン バレて捕まるとかではなく、ですか?

丸山 詐欺をしている人間はめちゃくちゃタタキに遭うんですよ。

ナオキマン タタキ、というのは強盗事件ですよね。詐欺で集めた金を別の犯罪者に狙われてしまう、と。
 

丸山 そうです。詐欺に限らずですが、違法な手段で稼いだお金や脱税で貯めたお金というのは、奪われたところで警察に届けることができないじゃないですか。だからそういうお金は遠慮なく奪ってもいいという考え方が、裏社会には結構あるんです。

ナオキマン なるほど。合理的というかなんというか。

丸山 詐欺をやるような人間の周りには、だいたい他にも裏社会の住人がいますからね。この間までチンピラみたいだった奴がいきなり高い時計をつけたり高級車に乗ったり羽振りがよくなると、だいたい美人局とか薬物を使ってハメられます。

詐欺師の最後はだいたい奪われる側に回るんです。

ナオキマン 犯罪者の食物連鎖ですね。

これから危ないのはドバイ

丸山 そういう犯罪者同士の共食いがこれから起きそうなのがドバイです。

ナオキマン 確かにドバイは今、お金を持っている人が集まっていますよね。

丸山 まず詐欺というのは、始めたときは周りに獲物がたくさんいるんです。だけどその獲物たちを狩っていくと徐々に狙える相手がいなくなる。そうすると詐欺師は次のステージを探します。
 

ナオキマン それこそ先ほど話したような、新しいテクノロジーや流行りのものを使った手法に変えていくわけですね。

丸山 そうです。けれどそんないいやり方が常に見つかるわけではないし、そもそも獲物は新しく見つけなければいけないわけですよね。元々いたコミュニティでは詐欺はできなくなっているので。

何が言いたいかというと、詐欺師当人はどんどん次のステージに進んでいるように感じていても、それって逃げているのと同じなんですよ。

ナオキマン 今いる場所をどんどん追われているような。
 

丸山 そうやって逃げて逃げて、最終的に行き着くのが現代ではドバイなんです。各国で獲物を狩って狩って、太った状態の詐欺師がドバイに集結しています。ご存知のとおりドバイは個人所得税がかからないということで、さまざまな国から資産家が集まっていますよね。

ナオキマン 詐欺師にとっては楽園みたいなところということですか。

丸山 今まではそうだったんですよ。でももう共食いのフェーズにきているみたいですね。

ナオキマン すごい、詐欺師同士の騙し合い。映画みたいですね。
 

丸山 そういった詐欺の元締めで、その世界で影響力のある人がいて。その人のコミュニティに入っていれば安心だよね、という親分みたいな人が身内食いを始めているんですよ。そうなるとほんの少し残っていた裏社会の秩序みたいなものも、もう崩壊していっている。

これはつい最近聞いた話なので、この本が出る頃にはドバイの裏社会情勢も大きく動いているかもしれません。
 

ナオキマン 本当に映画の世界ですね。詐欺師同士の最終戦争が起きようとしているわけだ。めちゃくちゃ面白いです。

丸山 逃げようにも、ドバイを出たらもう行く場所はないですからね。それくらい、最後の楽園のような場所だったので。


文/Naokiman Show 丸山ゴンザレス

ヒトコワ都市伝説

Naokiman Show、丸山ゴンザレス
ヒトコワ都市伝説
2024年3月27日
1540円(税込)
単行本
ISBN: 978-4801307131
累計登録者数300万人のナオキマン×登録者数120万人の丸山ゴンザレス。YouTubeで人気のふたりによる、超刺激的な対談本! 本書のテーマは、「ヒトコワ」。 都市伝説系YoutuberのNaokiman Showと、危険地帯ジャーナリストの丸山ゴンザレスが、ヒトコワ=人の怖さを深掘り。都市伝説と裏社会の視点から、世界の闇に迫ります。 人間を解体するビデオがコレクションされた不気味すぎる部屋、購入した島に児童を連れ込み性欲を満たす億万長者、暇つぶしで人を廃人に追い込もうとするヤクザたち……。 そんな怖ろしい現実を、「人身売買」「不可解な死」「中国の闇」「狂気のドラッグ」「ユダヤ陰謀論」「裏社会の金」という六つの切り口から解き明かします。

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