調査報道メディア「ワセダクロニクル」編集長に聞く (上)
Japan In-depth / 2017年2月19日 11時30分
安倍宏行(Japan In-depth 編集長・ジャーナリスト)
「編集長の眼」
今月突如誕生した調査報道に特化したウェブメディア「ワセダクロニクル」。早稲田大学ジャーナリズム研究所(所長・花田達朗教授)が運営する。取材費は全て寄付で賄うという日本では珍しいビジネスモデルを掲げ、注目されている。
第一弾の「シリーズ「買われた記事」は、一般社団法人共同通信社の100%子会社、株式会社共同通信社(以下、KK共同)が、共同通信社の配信記事の見返りに電通子会社から現金を受け取っていたとすっぱ抜いたもので、業界に激震が走った。一般社団法人共同通信およびKK共同は「当社の業務について重大な事実誤認があり、抗議文を出した」とコメントしている。
元朝日新聞社記者渡辺周編集長に話を聞いた。
■学生にジャーナリズム実践を教育
安倍:大学の中にジャーナリズムができるのって日本ではめずらしい。それについてはどうなんですか。早稲田大学のジャーナリズム研究所というものがあって、花田先生も設立にかかわられていると思うのですが、大学にメディアが所属しているという形なのか、それとももっとインデペンデントな形か、どちら?
渡辺:それはインデペンデントで、大学当局とは何か関係があるとかというわけではなくて、あくまでもジャーナリズム研究所の独立したプロジェクトになっているので。なので、別に早稲田と何か関係があって編集方針とは関係なくて。お金も全然大学からもらえなくて。取材も出したものについてはプロジェクトの責任者である僕が編集長として責任をとる形で。
だから大学の看板を借りて何かするというよりは、やはり大学を選んだのは、学生がジャーナリスト志望でいて、そのジャーナリズム教育みたいなものをこういう、実践の場を通してですね、もちろん実践だけではなくて座学的にある程度、計画を立てて取材手法とか倫理とかいうのを教えているんですよね。
安倍:研究所がですか?
渡辺:いや、ワセダクロニクルでも教えている。そこの学生メンバーに、実践もするけどただ実践はね、調査報道なので危ない取材とか敵対する相手への、批判対象への取材とかというのは一切させないですけど。資料の集め方とか取材手法とかというのを身近で、一緒になって勉強すると。そういうことで、昔はある程度会社に入ってですね、それぞれのメディアで教育を受けて一人前になっていくっていう。
僕も朝日新聞入って初めて記者になって、現場で教育を受けたんですけれども。だんだん全体状況の中で、やっぱりジャーナリストよりも会社員である自分というものが優先される兆候がだんだん増えてきたんじゃないかなと思っていて。そうするとやっぱり会社に入って教育を受ける前に大学でしっかり教育を受けてそれを糧にしてそれぞれの現場で活躍してもらうという循環ですよね。また現場に出てなにかしてまた大学戻ってきてもいいし、そういうローテーションというか、全体の底上げを図りたいという。だからワセダクロニクルだけなんとかうまくいってというわけではなくて、そこは人材の供給源を送り出すあれでもあり、というのが一つと。
この記事に関連するニュース
-
さらば、夕刊フジ 党内基盤の脆弱さを超える唯一の支え…石破首相就任後、前言を翻し封印し離れる〝世論〟鈴木哲夫氏が「筋」通した権力批評
zakzak by夕刊フジ / 2025年1月22日 11時0分
-
石田健氏 フジ〝閉ざされた会見〟の問題点指摘「現場で頑張ってる記者の方は悲しいだろうな」
東スポWEB / 2025年1月19日 11時12分
-
「お金は世間に必要なだけ回っていなければダメ」養老孟司がお坊さんに頼まれて払った"一生モノの買い物"
プレジデントオンライン / 2025年1月16日 17時15分
-
斎藤知事のパワハラを断定、立花孝志氏のマスコミ叩きに便乗…デマを指摘する「ファクトチェック団体」の欠陥
プレジデントオンライン / 2024年12月30日 7時15分
-
役職停止中でも「スポークスマンの一人」として「発信を強化」 立候補打診は「会った人に息を吐くように」【玉木雄一郎氏インタビュー】
J-CASTニュース / 2024年12月29日 12時0分
ランキング
-
1トランプ氏、ウクライナ和平拒めば対ロ制裁も 中国にも関与要求
ロイター / 2025年1月22日 8時57分
-
2「ガザで死ぬと思った」=解放の元人質女性ら―イスラエル
時事通信 / 2025年1月21日 19時51分
-
3千人以上の大量解雇へ大統領令 トランプ氏、支配強化狙い
共同通信 / 2025年1月21日 17時49分
-
4トランプ就任で「USスチール買収」はどう動くか...「米国の寛大さ」の行方と、トランプの深謀
ニューズウィーク日本版 / 2025年1月21日 19時5分
-
5「2本の指が欠損」「愛犬も撃たれて死んだ」ハマスから解放された女性(28)が経験した“果てしない地獄”とは《飢え、性的虐待、拷問…》
NEWSポストセブン / 2025年1月22日 9時0分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください