緊迫の朝鮮半島情勢最新分析
Japan In-depth / 2017年5月9日 8時47分
Japan In-depth 編集部(坪井映里香)
【まとめ】
・中国漁船団日本海に集結、中国軍の影も。
・有事の際、朝鮮労働党幹部が万景峰号で日本に避難の可能性あり。
・米潜水艦や露ミサイル巡洋艦に動き。日本海戦略を注視。
緊張状態が続く北朝鮮周辺の情勢。海洋の安全保障という観点でこの問題を見ている東海大学海洋学部海洋文明学科山田吉彦教授をゲストに迎えた。
■地政学上無敵の日本
山田氏は海洋への視点の必要性について、地球の7割以上が海でできていることから、「海を通して物資は通じている。だから海をないがしろにはしてはいけない。」と述べた。同時に日本は島国のため、世界へとつながる道は海しかない。そのため、「歴史的に見ても、(日本は)海に守られてきた。」と指摘した上で、「海を通して世界と接している以上はしっかりと海を守っていかないと国土に対して影響が及んでしまう。侵略されてくるのは必ず海から来るから、ミサイルだけで最終的にはこの島を全部抑えられるわけではない。海さえおさえておけばこの国は安泰。」と、日本の海洋における安全保障の必要性を強調した。
また、山田氏は中国にとってもロシアにとっても、日本の存在が彼らの自由な経済戦略を妨げていることを指摘した。「逆さ地図」(下図)を見ると、中国が貿易をしようとすると日本列島・沖縄諸島を横切る必要がある。そのため仮にもし日本と紛争になった際、海洋封鎖をされれば中国は干上がってしまうこと、ロシアも、極東開発をすすめようとしたら日本と友好関係を結ぶしかないということを日露戦争で思い知らされている、といったことをあげた。そうした「強いカード」を日本が持っていて、その切り方を分かっていれば「日本はアジアでは無敵の国」と山田氏は述べた。
■緊迫する日本海と難民問題
テーマの北朝鮮周辺の情勢についてまず山田氏は「日本海は海洋安全保障上は最も注目されている海域。日本ではほとんど報道されていないが、実は昨年から日本海の動きが非常に激しくなっている。」と述べた。韓国の報道によると、中国の漁船団が昨年、700隻から1000隻日本海へ行っているという。北朝鮮海域の漁業権を中国が買っており、日本の海域において中国の漁船が漁をやっているという。これはすなわち、「北朝鮮になにかあった場合日本海に中国の船がいるということ。」であると山田氏は指摘した。さらに、「日本海に中国の漁民がいるということは、中国は人民の保護と言う名目で海軍を日本海に堂々と投入できる」ことを意味すると述べた。
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