文在寅圧勝、しかしもって3年
Japan In-depth / 2017年5月11日 10時36分
朴斗鎮(コリア国際研究所所長)
5月9日に実施された韓国大統領選の得票率は、左派系最大野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)候補が、13,423,762票の41.08%を獲得し新大統領に当選した。2位は保守系の自由韓国党の洪準杓(ホン・ジュンピョ)候補が、7,852,843票の24.03%を獲得、3位は左派中道の国民の党の安哲秀(アン・チョルス)候補が6,998,323票の21.41%を獲得した。文候補と安候補は直前のギャラップ調査の誤差範囲内であったが、洪候補は大きく外れた。洪候補は世論調査よりも8ポイントも高い結果となり、やはりというか保守系標本の抽出に問題があったことが示された。3,280万人が投票に参加し暫定投票率は前回2012年の時より1.4%増の77.2%となり20年ぶりの高さとなった。
1、選挙結果分析 若者の安保意識低下と経済格差問題
文在寅候補が洪準杓候補に大きく差をつけた地域は、首都圏と全羅道であった。これに対して洪候補は、慶尚道を席巻したものの、江原道の半分と京畿道北部それに忠清道の一部を獲得したにとどまった。
そうとはいえ、壊滅的だった保守の牙城である慶尚道を取り戻した意味は大きい。自由韓国党立て直しで大きな担保が確保されたと言えるからだ。惜しむらくは安哲秀候補に流れた10%近い保守票を取り戻せなかったことだ。選挙の期間があまりにも短かったことが影響したと思われる。
自由韓国党から分裂した「正しい党」ユ・スミン候補の獲得票6.76%と安哲秀候補に流れた10%近い保守票を加えると40%となることをみても、保守勢力の分裂が保守敗北をもたらしたことを明示している。
世代別に見ると、20、30、40代では文在寅候補支持が圧倒的に多く、50代でも保守を越えた。60代以上では洪準杓候補支持が多かった。安哲秀候補はいずれの世代でもトップを取れなかった。
対立構造も解消されなかった。地域別に見ると、ソウル以外では依然として全羅道対慶尚道の対立構造が目立った。特に深刻な対立構造は世代間対立である。若者と高齢者の意識断絶は一層深まっている。その主な要因は若者の安保意識低下と経済格差問題にあるとみられる。
2、文新大統領の前に立ちはだかる難題
文在寅氏が新大統領に就任したが、提起される課題は決して少なくない。先行きも安定的でない。その最大の要因は得票が50%を超えなかったことにある。60%もの有権者が文候補を支持しなかった意味は決して軽視できない。
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