北朝鮮の脅しに屈するな
Japan In-depth / 2017年9月21日 9時6分
山口昇(笹川平和財団参与・国際大学教授・元陸将)
【まとめ】
・北朝鮮のミサイル発射は国連決議違反、国際社会は核・ミサイルの放棄を求めている。
・「核武装した北朝鮮との共存」はあり得ない。
・国際社会は“制裁、対話、インセンティブ、軍事的行動”を駆使し圧力を強めねばならない。
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北朝鮮は、8月29日と9月15日、火星12号と称する中距離弾道ミサイルを発射し、北海道上空を通過した後に太平洋に弾着させた。2度目の飛翔距離は約3,700kmであり、北朝鮮から約3,400kmに位置するグアムを攻撃する能力を示したことになる。
この間、9月9日には出力160キロトンの核実験を行い、水素爆弾の開発成功を標榜している。さて、北朝鮮によるこのような核実験や挑発行為を論じる際には、まず次の3点を思い起こさなければならない。
その第1は、北朝鮮の弾道ミサイルと核兵器の開発は、数々の、国連決議によって禁止されている。つまり、核実験はもとより、射程の長短に関わらず弾道ミサイルの発射は国際社会の合意に反する犯罪的な行為だという点だ。
▲写真 北朝鮮に対する制裁を決議する国連安保理 2017年9月11日 米・ヘイリー国連大使 出典:United Nations
第2に、国際社会は、例えば2006年に採択された国連決議1817号により、一致して北朝鮮に対し、核兵器とミサイルに関する計画を「完全で検証可能、かつ逆戻りできない方法で放棄」することを求めているという点だ。
近年「核武装した北朝鮮との共存」ということを議論する向きがあるが、核兵器のない朝鮮半島という目標に反するものであり、この点について妥協の余地はない。
第3に、これら2点を考慮すれば、現下の緊張状態を乗り切って小康に至ったとしても、危機の終焉ではないという点を銘記すべきだ。北朝鮮が核・ミサイルを放棄しない限りゴールには到達しない。
核兵器を保有し、その使用を公言して憚らない国が存在し、日常的に広島・長崎の再来に怯え続けるような世界を容認することはできない。また、核兵器と大陸間弾道ミサイル(ICBM)さえ持てば、北朝鮮のように国力が小さい存在でも、経済的・政治的・軍事的な超大国である米国と対等の立場が得られるといった認識が蔓延することは重大な問題だ。
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