日本を解凍する?少数株主シンデレラストーリー1
Japan In-depth / 2017年10月19日 14時14分
安倍宏行(Japan In-depth 編集長・ジャーナリスト)
「日本解凍法案大綱」という小説の寄稿の相談があったのが1年以上前だった。その時伺った構想に私はいたく感銘を受けたのを覚えている。それは私が今まで考えたこともないテーマだったからだ。目からうろこ、というがまさにそんな感じだった。
タイトルが言う通り、「日本を解凍」するストーリーなのだ。何のことかわからない、という向きにはとにかくこの物語を読んで頂きたいのだが、言い換えると、「日本経済の再起動」ということだ。
バブル崩壊後20年以上経ってなお、我が国は未だデフレのトンネルから完全に抜けたとはいいがたく、政府・日銀が目指す物価上昇2%の達成時期も見通せていない状況だ。アベノミクスも5年目になろうとしているのに、だ。
そうした中、一体どうやって日本経済を再起動するというのか。そのかぎがこの物語の中に隠れている。キーワードは「同族会社の少数株主」だ。
本小説の作者で、弁護士の牛島信氏に話を聞いた。
安倍:なぜ「同族会社の少数株主」が日本経済を再起動することになるのか、ピンとこないのですが?
牛島:この小説にはヒントがあるんですよ。
それが「大日本除虫菊」事件です。これは知っている人は知ってるんですけど、おばあさんの株を相続した人がいましてね。その人は4.99%の株しか持っていない、全然経営にタッチしてない人ですよ。0.49%の株を相続したのですが、配当もたいしてもらっていなかったし、相続税なんて安いものだろう、と思っていたら税務署から、あなたは相続で5%を超える株主になったから、あなたの株の評価額は1億6千万円です、税金1億円を納めて下さい、と連絡があったんですよ。
安倍:いきなりそんなこと言われたら腰抜かしますよね?その人は異議申し立てとかしなかったんですか?
牛島:そりゃあ大変だということで裁判をやったんですが最高裁判所まで争って、結局負けたんですよ。そういう事件。つまり、うかうかと同族会社の株を持ってて、たまたま会社の経営がいいと、マイホームを取られかねない、という話ですから。
安倍:それは怖い話ですねえ。
牛島:そうです。
でもそういうことが身に降りかかるまでピンとこない人が多い。
実際に、こんな例がありました。
一族で約42%の非上場・同族会社の株式を保有しているが経営に関与していない株主から、「株を捨てたい」という痛切な悩みの相談がありました。約11%の株を持っている方だったのですが、詳しい話をうかがうと、会社に対し、相続税対策のために一族が保有する株を買い取って貰いたいと頼んだら断られてしまって困っている。配当はほとんど無く、相続が発生した場合、相続税がすごく高くなるけれどとても支払えないから、何とかしたいという相談でした。
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