今後も起きうる北朝鮮による拉致
Japan In-depth / 2017年12月11日 10時56分
そして、敵地浸透・同化能力を高めるため、「工作員の現地化教育を徹底的に行え。そのために現地人を連れて来て教育に当たらせよ」と拉致指令を発した。
この「現地化、敵区化教育」方針により、主として言葉、風習、生活習慣などを教えさせるため、韓国、日本を中心に東南アジア、中東、欧州などからの外国人拉致が多発するに至った。1977年、78年が最も多くの被害者を出した年である。一例を挙げると、横田めぐみさんは1977年、地村、蓮池、市川夫妻(いずれも北で結婚)の3カップルや曽我親子は78年に拉致されている。
▲ 写真)横田めぐみさん 出典)政府拉致問題対策本部
▲ 出典)政府拉致問題対策本部パンフレットより
なお、上記の金正日による拉致指令は、すべて自分の発案であるかのように誇張されているが、実際はそれ以前から、工作現場の判断で外国人拉致は行われていた。ただ、金正日の指示を受けて、より組織化されたことは間違いない。
第4期は、飢餓の蔓延で脱北者が急増した1990年代後半以降に、主に中朝国境や雲南省(中国から東南アジアに脱ける際のルートに当たる)などで行われた拉致である。
政治警察である国家保衛部が主として担当した。脱北者に加え、支援者と目された韓国人や朝鮮系中国人が主たる標的となった。2004年8月に雲南省で失踪した米国青年デヴィド・スネドン氏もこのケースだった可能性が高い(韓国語に堪能であり、脱北支援者と誤認されたと見られる)。なお、2016年9月28日、米連邦議会下院が、北朝鮮による拉致を視野にスネドン事件の真相解明を求める決議を採択している。
▲ 写真)拉致に遭ったとされる米国人デイビッド・スネドン氏 出典)Finding David Sneddon
■拉致、8つの目的
さて以下に、北朝鮮による外国人拉致の目的を簡単に整理しておこう。8点にまとめられると思う。
①工作活動の隠蔽。たまたま工作現場に居合わせた目撃者を連れ去るケースなど。1963年の寺越事件では、工作船に遭遇した漁船の乗組員が拉致された。その1人、寺越武志さんは当時13歳。横田めぐみさんと同じ年齢での拉致である。日本政府は、武志さんをいまだ拉致認定せず、北に帰国を強く要求してもいない。が、13歳の男の子を放置して、13歳の女の子を必ず取り戻すと力説しても説得力を欠くだろう。
北朝鮮側は、武志さんは拉致ではなく遭難中の救助だと主張している。仮に百歩譲ってそれが事実だとしても(事実ではないが)、子供を救助して何十年も親に知らせなければ、拉致と同じだろう。
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