今後も起きうる北朝鮮による拉致
Japan In-depth / 2017年12月11日 10時56分
②身分の盗用。いわゆる「背(はい)乗り」。被害者になりすまして国際的信用力の高い日本のパスポートを取ることなどが目的。
③洗脳し、工作員として利用する。この目的で拉致したものの、うまくいかず教育係とした例もあったようである。
④工作員現地化の教育係に使う。日本語を教えさせるなら在日朝鮮人を使えばよく、日本人拉致の必然性がないと、「拉致疑惑」否定論者がかつてよく論じたが、金正日の「現地化」論理では、在日では日本人的立ち居振る舞いの教官として不足だったのだろう。
⑤拉致被害者や脱走米兵など外国人の配偶者にする。
⑥北朝鮮内では得られない特殊技能を持った専門家を確保する。朝鮮戦争中の韓国インテリ拉致以来の発想である。韓国の映画監督申相玉、女優の崔銀姫夫妻を拉致し、北朝鮮で映画作りをさせた例などがある。
⑦反北活動の阻止。北朝鮮難民を支援する活動家の拉致などがこれに当たる。
⑧対南宣伝に利用。拉致した人物に、北の体制の優位性などを語らせる。上記の女優崔銀姫氏は、金正日から「南朝鮮の人々を前にわが社会主義祖国の優越性について崔先生が一言いえば、その効果は大きい。南朝鮮には崔先生のファンがどれほど多いことか」と宣伝戦への協力を求められたという。
1950年代末から本格化した在日朝鮮人の「帰国運動」にも宣伝戦の一環という要素があった。金日成は、第一次帰国団への談話で、「世界史において、海外公民たちがいわゆる『自由世界』から社会主義社会に集団移住した実例はありません。国が南北に分かれているわが国の条件において、在日同胞たちが共和国北半部の社会主義祖国へ集団的に帰ってくるということは、わが党と人民の勝利だけではなくすべての社会主義国の勝利となるのです」と強調している。
以上8つの目的は相互に排除し合うものではなく、複数の目的を持った、あるいは途中で目的が変わったケースも多々あったと思われる。
例えば、崔銀姫氏の場合は⑥+⑧、スネドン氏(北で工作員の英語教育に当たらされているという情報がある)の場合は、⑦+④のケースであろう。
拉致は北朝鮮体制の本質に根付いた行為である。今後も機会さえあれば繰り返されると見ておかねばならないだろう。
TOP画像:政府の拉致問題啓発ポスター(写真:横田めぐみさん) 出典)北朝鮮による日本人拉致問題(制作:政府 拉致問題対策本部)
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