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北朝鮮漂着漁船に工作員はいない

Japan In-depth / 2017年12月29日 14時6分

北朝鮮漂着漁船に工作員はいない

朴斗鎮(コリア国際研究所所長)

 【まとめ】

・北朝鮮籍と見られる船舶の漂流・漂着は過去最多、生存者が多く発見されている。

・北朝鮮漁民は朝鮮半島から離れた海域で漁をせざるを得ない状況。漂着漁船の乗員に工作員が紛れていることは考えにくい。

・沿岸警備の徹底、国民安保意識の向上、有事の際の難民への対処、日本に潜伏する工作員の摘発が急務。

 

【この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されず、写真説明と出典のみのことがあります。その場合はhttp://japan-indepth.jp/?p=37656でお読みください。】

 

海上保安庁によると12月27日現在、北朝鮮籍とみられる船の漂流・漂着が100件に上り、海保がデータの集計を始めた平成25年以降で最多になったと発表した。

海保の集計によると、漂流・漂着は平成25年80件▽26年65件▽27年45件▽28年66件-で推移していたが、今年は27日時点で100件。多くは木造船で、船の一部とみられる木片も含まれている。月別では12月に入って41件となり、11月の28件を大幅に上回った。


https://twitter.com/Kantei_Saigai/status/942671644371202049

▲不審船への警戒を呼びかける首相官邸(災害・危機管理情報)Twitter

日本の排他的経済水域(EEZ)にある好漁場「大和堆(やまとたい)」での違法操業中に荒波にのまれて遭難し、北西風に流されたものと見られる。

▲図 排他的経済水域 日本の排他的経済水域 出典:Gugganij  ※説明を地図上に記載

漂着した漁船の中には遺体が残されたものもあった。だが引き取り手もなく日本のお寺に安置されたままだ。むごい話である。本人と家族のことを考えると心が痛む。

老朽化した北朝鮮船が朝鮮半島から遠く離れた海域で無謀な漁を続けるのは、金正恩委員長が北朝鮮近海の好漁場を中国に売り飛ばしたためだ。中国に売却することで得る収益は年間7500万ドル(約76億円)に達し、これが統治資金になっているとみられる。

金正恩は2013年以降、年末になると「朝鮮人民軍水産部門熱誠者会議」を開催し、海産物の漁獲量を画期的に増やすよう指示している。今年は経済制裁に対抗した「万里馬運動」という増産強制運動もあり、また悪天候も重なって漂着件数が増えたと思われる。

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