ウェブメディア猛攻 新聞の漂流止まず【2018:メディア】
Japan In-depth / 2018年1月3日 13時37分
安倍宏行(Japan In-depth 編集長・ジャーナリスト)
「編集長の眼」
【まとめ】
・新聞の発行部数は16年連続減少、広告費は11年間でほぼ半減。
・新聞はアーカイブと人材を利活用できておらず、人材流出に歯止めがかからず。
・読者が本当に知りたい情報を報じておらず、ウェブメディアの猛攻を許している。
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昨年の新年特集【大予測:メディア(新聞)】で私は「伝統メディアが反転攻勢に」と書いた。結論から言うと、反転攻勢は無かった。それどころか新聞の凋落は止まらなかった。
深刻な部数の減少
新聞協会によると、2017年の一般紙の発行部数は38,763,641部で対前年比2.7%減であった。2001年の47,559,052部依以来、連続16年間部数を減らし続けている。
発行部数は朝夕刊セットを1部として計算
図1)Japan In-depth編集部作成(新聞協会のデータに基づく)
発行部数の減少より衝撃的なのは、新聞広告費の減少だ。2005年に1兆377億円あったのが、2016年は5431億円だ。11年間でほぼ半減したことになる。広告主にとってもはや新聞は魅力的な媒体ではないことを意味する。
図2)Japan In-depth編集部作成(新聞協会のデータに基づく)
当然座して死を待つわけにはいかない、ということで色々なチャレンジをしているが、デジタル戦略では日本経済新聞の独り勝ちの状況だ。しかしそれはビジネスマンにとって日経以外選択の余地がほとんどないからであって、高い購読料に二の足を踏む消費者も多いだろう。
その日本経済新聞社は2017年11月1日から月ぎめ購読料を朝夕刊セットで4509円から4900円(消費税込み)に、全日版を3670円から4000円(同)に値上げしたのには驚いた。セットで約9%、全日版では約9%の値上げである。目を疑った読者も多いだろう。正直その値上げ分の付加価値を感じない。
新聞が失った2つの付加価値
付加価値と言えば、新聞が媒体としての魅力を減退させ続けている理由として2点あげたい。それは、“コンテンツ(アーカイブ)”と“人材”の利活用が上手くいっていないことだ。
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