ウェブメディア猛攻 新聞の漂流止まず【2018:メディア】
Japan In-depth / 2018年1月3日 13時37分
以上2つの新聞不振の原因に加え、さらに深刻な問題がある。それは、一部の新聞報道が読者のニーズと乖離していることだ。
読者ニーズとの乖離
政治報道でいえば「もりかけ問題」。安倍政権打倒に血道を上げているか如くの偏った紙面に多くの読者が違和感を持ったであろう。しかも問題の本質を分かりやすく報道したとはとても思えない。法的にどのような瑕疵があったのか、今もって国民の多くはよく理解できていないのではないか。この問題を去年あれだけ追求したのだから最後まで責任をもって継続報道してもらいたいものだ。
写真)学校法人森友学園が設立を予定していた「瑞穂の國記念小學院」
Photo by L26
北朝鮮の挑発があれほど激化した2017年だったが、安全保障の議論を深めることなく国内問題に終始した報道に辟易した人は多かったろう。
そして2017年10月の衆議院総選挙だ。あれほど世界中でフェイクニュース問題が取り上げられているのに、「ファクトチェック」に大手新聞は全く熱心ではなかった。選挙前に立ち上がった、日本国内のファクトチェックの推進・普及を目的とした団体「ファクトチェック・イニシアティブ」の呼びかけに応じて、選挙期間中の政治家の発言や報道の内容を精査して報じたのは、「BuzzFeed Japan」と「ニュースのタネ」、「GoHoo」と「Japan In-depth」だけであった。
写真)楊井人文 日本報道検証機構代表
©Japan In-depth編集部
実際にどのようなファクトチェックが行われたかは、「ファクトチェック・イニシアティブ2017総選挙プロジェクト」を見ていただきたいが、今回我々がチェックした幾つかの例を読むと、普段目にしている、もしくは耳にしている政治家や識者・コメンテーターの発言をチェックする大切さを思い知ることになる。そして本来は新聞こそ、こうした取り組みをするべきなのだ。が、新聞のファクトチェックの取り組みは鈍いの一言に尽きる。
写真)ファクトチェック・イニシアティブ
読者ニーズとの乖離といえば、新聞の「報じない自由」も際立った年だった。その一つが、筆者も長年情報発信している「子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)」の問題だ。副作用の問題を取り上げるテレビ、新聞は多いが、ワクチンの有用性を記事にすることはほとんどない。結果、子を持つ親はワクチンを受けさせるべきなのかどうか、判断できない状態が続いている。そして今現在日本では、HPVワクチンを打つ少女はほとんどいないという異常事態となっている。
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