酷い歪曲とすりかえ 朝日コラム
Japan In-depth / 2018年1月8日 17時55分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・朝日新聞批判の理由は、言論機関としてあり方に大きなゆがみがあるから。
・去年末、米の9.11陰謀説を朝日新聞自体への非難と同じだとするコラムが掲載された。
・陰謀説は米では既にデタラメと証明されており、朝日新聞への批判とはなんの関係もない。
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朝日新聞が自紙を批判した評論家らを非難し、訴訟(注1)まで起こした。その反発がさらなる朝日新聞批判を生んでいる。なぜ朝日新聞への批判がこれほどに続くのか。簡単にいえば、公共性を持つニュースメディアとして、言論、報道の公的機関として、そのあり方に大きなゆがみがあるからである。その実例をごく最近の朝日新聞の代表的な記事によって示してみよう。
その前に私自身の立場を明確にしておこう。
私は産経新聞記者として長年、活動し、いまも同新聞の嘱託のようなワシントン駐在客員特派員という立場で寄稿しているが、朝日新聞の批判はまったく一言論人、一ジャーナリストとしての見解の表明である。私は産経新聞に入る前に毎日新聞記者としても長年、活動してきたが、その時代にも朝日新聞を批判する記事や本は何回も書いてきた。朝日批判はあくまで自分自身の意見の表明ということなのだ。
さて最近の朝日新聞のゆがみの実例は以下である。
昨年12月31日付朝刊の「日曜に想う」と題するコラム記事だった。筆者は編集委員の大野博人記者、見出しは「もっと『複雑』な自画像を」(リンクはWeb版)となっていた。
この記事の根本のゆがみを最初に総括して述べるならば、アメリカの陰謀説のデマを日本での「反日」というような朝日新聞自体への非難と狡猾に重ね合わせて同じだと断じる「すりかえ」である。
現実にはアメリカでのそのデマと日本での朝日新聞非難とはまったく異質の認識なのだ。だが同コラムは朝日新聞への批判は陰謀説のデマと同じなのだ、と述べているのに等しい。要するに、こざかしいすりかえ、ゆがめ、歪曲の言論なのである。
大野記者はまず東京都内の居酒屋で日本人の若い男性がその友人に語った言葉として以下を引用する。話題は2001年9月にアメリカで起きた9・11同時多発テロだ。
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