国産ミサイルはいらない
Japan In-depth / 2018年2月9日 10時44分
文谷数重(軍事専門誌ライター)
【まとめ】
・防衛省は超音速ミサイルASM-3の生産を決定した。
・ASM-3は亜音速ミサイルJSMに命中率、コスト、汎用性の面で圧倒的不利にある。
・JSMなりLRASMを購入するか、既存ミサイルをステルス化した方がよい。
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国産超音速ミサイルは必要なのだろうか?
防衛省はASM-3の生産を決定した。これは日本で開発した飛行機から軍艦を狙う対艦ミサイルである。その特徴は超音速飛行にある。速力はマッハ3と従来ミサイルとの3〜4倍とされた。それで軍艦側が対処に使える時間を1/3〜1/4とし防御側の迎撃を不可能とする。そういったアイデアである。
だが、この超音速ミサイルは必要なのだろうか?なぜなら並行導入されるミサイルに明らかに劣るためだ。防衛省は同時期にJSM購入も決めている。これはF-35戦闘機に搭載するノルウェー製対艦ミサイルである。速力は音速よりも遅い亜音速だが高いステルス性を持つ。ASM-3はこのJSMに明らかに劣る。命中率、コスト、汎用性の面で圧倒的不利にある。
その点からすればASM-3は作るべきではない。その分JSMを購入し既存航空機を改修して搭載する。あるいはJSMに類似した亜音速のミサイル導入をすすめたほうがよい。例えば検討中の米国製LRASM対艦ミサイルの導入や既存国産ミサイルの外形ステルス改修である。
▲写真 JSM 出典:製造元KONGSBERGより
■ 高コストなASM-3
国産超音速ミサイルASM-3はノルウェー製JSMに劣る。
その不利の第1はコストである。ASM-3はコスト面でJSMに勝てない。これは調達価格だけではない。搭載・威力のコストでもASM-3はJSMに及ばない。導入はやめたほうがよい。
・ 超音速は高い
調達価格での不利は単純である。重量級の超音速ミサイルは軽量の亜音速ミサイルよりも高くなる。
ASM−3のエンジンは高くつく。大重量のミサイルを超音速で長い距離を飛ばさなければならない。そのためロケット・ラムジェット複合エンジンとしている。構造は単純だが製造は困難で高価格となる。
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