真夏の東京五輪、見直すべき
Japan In-depth / 2018年2月17日 12時0分
▲写真 新国立競技場 出典:Japan Sport Council
暑さ指数は気温、湿度、直射日光による熱を基にはじき出す指標。日本体育協会は指数21未満なら「ほぼ安全」、21~25は「注意」、25~28を「警戒」、28~31は「厳重警戒」、31以上を「運動は原則中止」と定めている。気温が35度、湿度55%以上だと指標が31になるという。しかもこの規準の危険度はアスリートだけでなく観客や大会関係者、特に日本の高温多湿になれていない外国人、子ども、高齢者にとって危険だと指摘されている。
▲図 運動に関する指針 出典:環境省(公財)日本体育協会「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」(2013)より
高い暑さ指数が最も悪影響を及ぼす競技は、陸上競技の花形・マラソンだ。マラソンの世界新記録は2時間2分57秒だから少なくとも2時間以上は厳重警戒以上の暑さの中で走り続けなければならならい過酷なレースになる可能性が強いことがわかったのだ。
また競技時間の長い競歩、激しく動くサッカーなども体力の消耗が大きいので暑さの中での競技は厳しくなるし、場合によっては選手生命を奪いかねないことになる。特に最近の東京は年々夏の暑さが厳しくなっており。2017年の8月上旬は最高気温35度前後の日が1週間以上続いたりした。さらに大敵は湿度。このため涼しい高地でトレーニングをする選手が増えているのだ。
▲写真 1964年東京オリンピック 男子1,500M決勝 出典:クリエイティブコモンズ
■ レース中に熱中症選手が続出
それでもレース中に熱中症の症状を起こす選手も増えている。1984年のロサンゼルス五輪女子マラソンでスイスのガブリエラ・アンデルセン選手がフラフラになりながら競技場に戻ってきたシーンは世界の目を釘付けにした。よろけながらゴールに向かうアンデルセン選手に観衆は総立ちになって声援を送り、競技委員は近くに寄って助けようとしたがアンデルセン選手は手助けを拒否し自力でゴールした。同選手は後に「レース直前まで涼しい高地で練習していたため、カリフォルニアのような蒸し暑さに慣れておらず途中で体調がおかしくなってしまった」と述べていた。
このほかにも07年8月の大阪世界陸上や08年8月の北京五輪でも出場者のうち4~5人に1人は途中棄権している。2004年のアテネ五輪はスタート時間を涼しい夕方にし、野口みずき選手はこの大会で金メダルを獲得したがゴール直後に体調をくずした。また、野口選手は2013年8月にモスクワで行なわれた世界陸上に出場したが、熱中症で途中棄権しているのだ。
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