真夏の東京五輪、見直すべき
Japan In-depth / 2018年2月17日 12時0分
■ IOCが開催日を指定
多くの人が疑問に思うのは“なぜその国で最もよい季節に開催しないのか”という点だろう。実は92年のバルセロナ五輪以降、国際オリンピック委員会(IOC)が五輪に立候補する都市は夏季五輪開催日を7月15日から8月31日までの間に設定することを求めているのだ。本来ならその国の気候を熟知している主催国がオリンピックに最もふさわしい季節、時期を選ぶのが筋にかなっているはずだ。実際92年までの五輪は主催国が最もよい時期を考え抜いて決めていたのである。
それなのにIOCが夏季の開催時期を7月15日~8月31日までと一律に設定してしまった。これはひとえに五輪開催に伴う収入に有利とみたためだ。いわばスポーツのためというよりIOCのカネ儲けに一番都合の良い季節という理由から選んだといいえる。
7月半ば~8月末は欧米で人気スポーツが開催されておらず、テレビ放映に最も都合の良い時期だった。春はアメリカで大リーグ野球が始まるシーズンだし、秋は欧州のサッカーシーズンで、夏は人気のプロスポーツが最も少ない時なのだ。テレビ番組の編成としては欧米の人気スポーツの少ない夏の五輪が最適だった。
2020年の東京五輪について日本のJOCなどは「最高のパフォーマンスをしてもらうため7月24日~8月9日にした」と言っているようだが、日本人なら誰もその言葉を信じないだろう。8月上旬の猛暑日がスポーツにとって最高のパフォーマンスを演ずることができるとはとても思えない。
逆に64年の東京五輪の開催日を10月10日とし、その後その日を「体育の日」としたのは日本人が体感的にも納得できたからだ。むろん64年当時とは気候の違いはあるものの、真夏の8月を選ぶとは、欧米のテレビ局に遠慮したためとみられても仕方がないだろう。
ちなみにアメリカのNBCユニバーサルは22年冬季から32年夏季までの6回のオリンピックのアメリカ向け放送権を76億5000万ドル(約7800億円)で獲得したといわれるが、もし秋に放送権を獲得しようとすればとてもこの額では収まらず、多くの国はあきらめてしまう可能性が強い。大金を積める国やスポンサー企業がないとオリンピックを招致できないのが現実となっているのである。またIOCは収入の9割を各国のオリンピック委員会や競技団体に還元するので補助金を受け取る側は自国の季節に合わないと反対するケースも少ないという。
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