仏、逆ギレセクハラ男 女性殴る
Japan In-depth / 2018年8月4日 20時52分
動画公開後は、100人以上からメッセージをもらい「私も同じ目にあった」「私もあの時同じことをすればよかった」と同様の被害にあった女性からの告白や、励ましのコメントを受け取った。ラゲルさんは、この動画を手に入れることができたことは幸運に恵まれていたと言う。通常はこういう事態が起こっても映像として残っていることなどほとんどなく、今回、事実を映し出した動画を公開することで、全ての女性に、多くの人に、「事の重大さ」を伝えることができたのだ。
確かに、男の言葉に対して言い返したことを非難する人も居る。男性が女性を人として扱っていないかのような言葉を先にかけたことには触れず、「なぜ彼女は汚い言葉で言い返したのか」と責める人もいる。しかし、メディアを含め大多数は、ラゲルさんの取った行動を称賛する声の方が大きかった。
「何も答えなければいいと言うものでもない。」42歳の女性はこう語る。ある日男性が「僕のかわいい蝶々」と言ってきたので無視したが、私が何も答えないので、さらに男性が侮辱の言葉放ちはじめた。そこで、躊躇(ちゅうちょ)はしたが引き返しその男性に説明を求めたところ、恥を感じる人物は、私から男性側になったのだ。
「その日から私は口を閉じません。」
そういった多くのメッセージを受け、ラゲルさんは、「道端や職場、プライベート」での被害の報告を集めることを目的としたサイト、「Nous Toutes Harcelement(われわれは皆嫌がらせを受けている)」を立ち上げることにしたと言う。匿名で、受けた被害を自由に語れる場を提供する。
また、この出来事を受け、フランスで審議中だった「路上ハラスメントに対する法案」が迅速に可決された。今回の衝撃的な動画を受け、政府関係者の中にも「緊急性」があり、「強固に対応しなくてはならない」と感じた者も少なくなかったと言う。この結果、ようやく、フランスにも公的空間における女性の監視、誘拐、屈辱、脅迫を明確に禁止する法律ができたのだ。
路上ハラスメントに対する法案をまとめたマルレーヌ・シアパ男女平等担当大臣は路上ハラスメントに対してテレビのインタヴューでこう語る。
「長く苦しんでいた女性が多かったが、われわれの世代ではもう苦しみたくないと言う女性が増えているという印象を受けました。」
▲写真 マルレーヌ・シアパ男女平等担当大臣 出典:フランス大使館
1970年代にフランスで女性運動が始まったころには、路上で声をかけられるのは、「女性として美しいと認められていることであり喜びと感じるべき」という雰囲気があった。というのも、当時は女性が男性と同じ権利を得るために「女性は弱くはなく、男性同様に強い」ことを見せるために、女は男の戦利品で性の享楽を楽しむ存在という関係から、一転して「愛」を享受しあう関係とすることで女性の価値を向上させようとした流れがあったからだ。
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