“本土の反対運動を懸念し沖縄に海兵隊移転”は本当?
Japan In-depth / 2018年10月4日 0時10分
▲写真 出典:虎ノ門ニュース
事実・証拠
(1) まず、在日米軍の部隊・基地が本土から沖縄に移転した事実があるのか。
周知のとおり、1945年の米軍の沖縄上陸以後1972年まで、沖縄は米国の占領施政下にあった。ただ、現在沖縄にいる米海兵隊は、かつて日本本土に駐留していた時期があり、ずっと沖縄にいたわけではない。
ここに、「在日米軍の削減」と題された米国防長官のための覚書(1957年7月10日付)がある。それによると、1957年時点で日本本土に展開していた在日米軍兵力は計9万8890人で、海兵隊も1万3400人いた。この覚書は40〜50%の兵力削減に言及していた。
▲写真 「在日米軍の削減」と題した米国防省の文書(1957年7月10日) 提供:立岩陽一郎氏
では、本土の海兵隊はいつ沖縄に移駐したのか。
現在、キャンプ・コートニーに司令部を置く第3海兵師団の公式サイトをみると、第二次大戦後いったん編成を解かれたが、1952年に再編成。朝鮮戦争で韓国に駐留した第1海兵師団の後方支援のため、1953年から日本(本土)に駐留し、1956年に司令部が沖縄のキャンプ・コートニーに移ったと記されている。現在キャンプ・コートニーには、第3海兵師団の上部組織である第三海兵遠征軍の司令部も置かれている(在日米海兵隊HP)。
林博史『米軍基地の歴史』(吉川弘文館、2012年)によれば、第3海兵師団が来日した時は岐阜県や北富士演習場(山梨県)などに駐留していたが、米政府が沖縄への移駐を決定したのは1954年という。当時、在日米軍海兵隊は本土に約2万5千人いた。それが、1957年の「国防長官の覚書」では約1万3千人。この3年間で本土の海兵隊兵力は半分近くに減ったことになる。他方、沖縄の海兵隊兵力は1万人を超えていた(前出『米軍基地の歴史』127頁)。
現在、第1海兵航空団の航空隊が使用している普天間飛行場も、1960年、米空軍から海兵隊に移管されたものだ(在日米海兵隊HP)。
▲写真 米海兵隊が駐屯するキャンプ・ハンセン(沖縄県金武町)Photo by Yanai (FIJ)
こうした経緯について、沖縄県は裁判所に提出した書面で、次のように指摘している。(以下、引用)
1950年代初頭、沖縄の米軍基地面積は日本本土の米軍基地面積の10パーセントにも満たないものであった。そして、1950年代を通じて、日本の米軍基地面積は大きく減少し、他方で沖縄の基地面積は激増した。1960年(昭和35年)には、日本の米軍基地面積は335.204平方キロメーロルと4分の1以下に減少し、他方で、沖縄の米軍基地面積は約209平方キロメー トルと約1.7倍となった。この基地面積の変化の大きな要因となったのは、日本本土から沖縄への海兵隊移駐とこれに伴う海兵隊新基地の建設であった。(2015年10月21日、沖縄県提出第2意見書)
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