「変わるアジアのパワーバランス」 Japan In-depth創刊5周年シンポ その1
Japan In-depth / 2018年12月30日 10時23分
3番目のポイントは、簡単に終わらないということ。これは1と2をつなぎ合わせれば当然出てくる結論だ。簡単に手を結んで手打ちになるということはない。長く険しい米中のせめぎ合いがこれから続いていくだろうということ。米中の関税問題もなんとなくどちらかが勝ってどちらかが傷ついて負ければ終わり、お互いがこれ以上戦うのをやめようということになれば手打ちになるので、関税戦争もやがて終わるだろうと思われる。しかし、決して現在の米中の対立は関税、貿易面だけではない。政治、安全保障、社会、そして貿易の背後にある経済体制、経済を運営していく仕組み。世界貿易機関(WTO)の国際基準に反していても「まぁいいじゃないか」と。中国が変わってこちらと同じようになるプロセスなのだから大目に見ようということで今まできたのが、それはそうはいかなくなったというわけだ。
貿易・関税の問題が解決してもまだまだ軍事的な対立や政治的な対立、台湾の問題をどうするのか、チベットの問題はどうするのか、あるいは日本に対してアメリカと中国がそれぞれどんな対応を取るのか、いろいろなところにギャップがあってそう簡単には片付かない。そのことが日本に今後どのような影響があるかを我々はは考えざるを得ない局面にいる」と話した。
(その2に続く。全5回)
トップ写真:©Japan In-depth編集部
【訂正】2018年12月31日
本記事(初掲載日2018年12月30日)の本文中、「寛容政策」とあったのは「関与政策」の間違いでした。お詫びして訂正いたします。本文では既に訂正してあります。
誤:それ以来のアメリカの中国政策というのは簡単に言うと寛容政策、すなわちエンゲージメント政策。これは、私たちの元へいらっしゃい、仲良くしましょう、中国はまだ弱く貧しいけれど強く豊かにするために我々は援助しますよというもの。そうすれば中国はアメリカや日本など民主主義陣営に近い形になり、我々の側、すなわちアメリカが中心となって築いてきた戦後の自由民主主義の国際秩序に中国が普通の一員として入ってくれるだろうと期待していた。これが寛容政策だった。
正:それ以来のアメリカの中国政策というのは簡単に言うと関与政策、すなわちエンゲージメント政策。これは、私たちの元へいらっしゃい、仲良くしましょう、中国はまだ弱く貧しいけれど強く豊かにするために我々は援助しますよというもの。そうすれば中国はアメリカや日本など民主主義陣営に近い形になり、我々の側、すなわちアメリカが中心となって築いてきた戦後の自由民主主義の国際秩序に中国が普通の一員として入ってくれるだろうと期待していた。これが関与政策だった。
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