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「変わるアジアのパワーバランス」 Japan In-depth創刊5周年シンポ その2

Japan In-depth / 2018年12月30日 23時45分

ではなぜ今回は北朝鮮は核の問題を国際社会に持ち出して非核化というショーを行ったのか。それは北朝鮮の内部がものすごく苦しいからだ。この点についても日本のメディアや、いわゆる北朝鮮の専門家は『平壌はあれだけすごい建設をしている。いま元山(ウォンサン)も凄いことをやっている。経済もとても発達・発展しているだろう』と(言っているがこれは誤りだ)。



▲写真 ピョンヤンの街並み 2014年6月30日 出典:flickr  Clay Gilliland


そして平壌詣でをする学者達が北に行き、向こうのプロパガンダを専門とする学者がそれを聞いて、例えば3.5%成長したなどと言っている。『韓国の中央銀行は3.5%をマイナスだと言っているのに、北に行ったら発展しているから日本の制裁は効いているというのは間違いだ』とか、こういうややこしい発言が日本には多い。


我々は平壌からも中国の丹東からも情報が取れている。そういった内側の情報を、平壌以外のところからどれだけとっているのかが重要だ。


今、北朝鮮は第二の「苦難の行軍」だ。内部の情報によると、やはり昨年の国連による経済制裁、特に9月以降の制裁は強烈に効いているようだ。これを隠すために、元山や平壌が発展しており、制裁は一向に効いていないので無駄だと我々にアピールしている。国民のためにやっているのではなく、金正恩体制を維持するに国際社会を欺瞞する必要があり、国際社会をだます策として発展している姿を見せている。


現在、元山では資材不足でどんどん開発が遅れている。最近、中国の制裁が少し緩んでいるが、やはり昨年の暮れの制裁は相当影響がある。セカンダリ・ボイコット(※編集部注「第2次ボイコット」。この場合北朝鮮と取引のある企業との取引を禁止すること)になれば大変なことになるから、中国もアメリカに気を遣って相当協力した部分があり、いま中朝の関係では最低限のものしか入っていない。


しかも、それらも主に密輸で入っている状況だ。小さな貿易船で正規に貿易していた人たちは、政府からストップがかかり、正規の貿易がなかなかできない。後は密輸という形になる。ご存知のように、今は「瀬取り」で油を入れているような相当厳しい状況だ。そういう状況だから非核化に出てきた。南北関係で金正恩は一切核問題を議題にしなかった。核の問題はアメリカとの問題で韓国と議論する問題ではないというスタンスだった。核を持っているため、韓国を見下している。


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