「変わるアジアのパワーバランス」 Japan In-depth創刊5周年シンポ その2
Japan In-depth / 2018年12月30日 23時45分
大事なのは第一次小泉訪朝形式であってはならない、第二次小泉訪朝形式でなければならないということ。これは安倍さんも十分把握していることだと思う。第一次小泉訪朝の時は外務省主導で将来的な日本の支援の話がメインで、拉致被害者は5人だけ生きていると。その5人についても彼らを日本に帰すつもりは全くなかったわけだ。北朝鮮はむしろ『日本にいる両親に北に会いに来て欲しい』と言わせて、首尾よく日本から家族が北朝鮮に会いこさせようとした。そうすると『日本でとにかく救出運動はやめてくれ』、『お父さんが救出活動をやり続ける限り自分たちの命は危ない。孫がどうなってもいいのか』などということを拉致被害者に言わせて親を黙らせようと北朝鮮は進めてきた。幸い日本の世論の怒りの声もあって、その5人は日本に帰ってくることになった。
▲写真 日朝首脳会談前に握手を交わす両首脳 平成16年5月22日、小泉総理は平成14年9月以来、1年8ヶ月ぶりに北朝鮮を再訪問し、金正日国防委員長と首脳会談を行った。 出典:首相官邸
ただ、外務省は1次帰国という形で北に戻すつもりだったわけだが。北朝鮮はまた仕掛けてくると思うのでそれは排除しなければならない。第二次訪朝形式というのは、小泉さんが行って事前に話し合いをつけた上で帰りの飛行機に拉致被害者の子供を乗せて帰ってきたわけだ。
▲写真 24年ぶりの拉致被害者の帰国 2002年10月15日 拉致被害者5名(地村保志さん・富貴惠さん、蓮池薫さん・祐木子さん、曽我ひとみさん)が帰国し、家族との再会を果たした。 出典:外務省
今度もし日朝首脳会談を安倍さんが北朝鮮でやるとした場合、帰りの飛行機に横田めぐみさんを、拉致被害者を全て乗せろと合意を取り付けた上で行かなければならない。いまはそのための水面下の交渉の段階だと考えている。ちなみに横田めぐみさんに関しては生存しているとの複数の情報を得ているので、私個人は生きておられるのではないかと確信している。
▲写真 横田めぐみさん 昭和52年(1977年)11月15日に拉致された。 出典:北朝鮮による日本人拉致問題
問題もある。北村滋内閣情報官が北朝鮮側と接触したとの話が出てくるが、相手は統一戦線部だ。統一戦線部は第一次小泉訪朝時に『5人だけ生きている。あとは全部死んだということでいきましょう』というシナリオ書いた連中だ。そのため、そのシナリオで行けると主張し続けないと自らの命が危ないという連中だ。北村氏は恐らくそういう連中であっても相手方の情報を取ろうということで会っているのだと思うが、その北村氏接触の情報が表に出ると統一戦線部ルートが極めて重要なものであるかのようにクローズアップされてしまう。
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