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女性アスリートの貧血問題

Japan In-depth / 2018年12月31日 18時2分

 


読売新聞は12月19日の社説「鉄剤注射選手寿命を縮める有害行為だ」で「指導者が自分の名声のために、選手を犠牲にしているのではないか」と糾弾し、「貧血は食事や経口薬で治療が可能で、鉄剤注射は重度の貧血に限られる」と解説した。



写真)鈴木大地スポーツ庁長官


出典)スポーツ庁ホームページ


 


このような批判を受けて、日本陸上競技連盟は、貧血治療名目の鉄剤注射の使用を原則的に禁止することを決めた。


 


さらに、読売新聞の取材に対し、鈴木大地・スポーツ庁長官が「鉄剤注射は医療行為。本当に治療が必要な場合を除き、安易に利用すべきでない」と述べた。さらに、問題発覚後、厚労省に連携を持ちかけ、担当者間で情報共有を始めていることを明かした。読売新聞は「スポーツ、医療各現場の問題点をそれぞれに洗い出し、具体的な対策につなげたい」と結んだ。


 


私は、この記事を読んで暗澹たる気持ちになった。読売新聞、日本陸連、そして鈴木長官の意見は、近年の研究成果を反映していないからだ。現在、世界中で鉄補充の研究が進んでおり、鈴木長官のように「鉄剤注射は医療行為。本当に治療が必要な場合を除き、安易に利用すべきでない」と簡単に結論できるような状況ではない。


本稿では、アスリートの貧血対策、鉄補充の現状を紹介しよう。


貧血とは赤血球が少ないことだ。医療現場では、採血をして赤血球に含まれるヘモグロビンという物質の濃度を測定して判断する。正常値は男性13.5~17.5 g/dL、女性11.5~15.0 g/dLだ。正常値以下の場合を貧血と診断する。貧血は男性にも起こるが、生理で出血する女性に生じやすい。



写真)血液の光学顕微鏡写真、多数あり丸く赤く写っているのが赤血球。中央に1つある細胞は白血球、赤血球の間に見える小さなゴミのようなものが血小板。


出典)Bobjgalindo


 


貧血の予防は鉄を摂取することだ。ヘモグロビンを作るには鉄が必要だからだ。ところが、鉄は赤身の肉や魚に多く、炭水化物には含まれていない。


 


焼き肉をしていると、肉が茶色になるのは含まれている鉄が錆びるからだ。カツオのタタキや鯨肉が茶色であるのも同じ理由だ。パセリや小松菜などの緑色野菜にも含まれるが、鉄の形態が異なり、肉類ほどには吸収されない。コンビニ弁当などの普通の食事では補充しにくい。肉や魚、つまり高額なおかずをしっかり食べていない人は貧血になりやすい。


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