変わるアジアのパワーバランス Japan In-depth創刊5周年シンポ その5
Japan In-depth / 2019年1月14日 2時12分
▲写真 李洛淵(イ・ナギョン)国務総理 2017年5月10日 出典:flickr Republic of Korea
朴: 韓国の司法がどうなっているのかについても分析する必要がある。今の韓国の司法は多数決で弾劾するというようなレベルだ。前最高裁長官が朴槿恵と近かったということを弾劾するために、左派の判事たちが組織を作った。司法の中に労働組合ができているようなものだ。それに対して、司法の中から、司法で多数決をするとはどこの世界にあるのかと、裁判官が自分の見識で判断するのが司法だというような徹底的な反論の声があがった。いま韓国国内でも問題になっている。そのような状況で、文政権がそこから逃げ出すことにつながる口実を作らないほうがいい。
話は全然変わるが、日朝の問題で言うと、我々が得ていた情報では北朝鮮は終戦宣言が実現した場合、次は日朝というストーリーを組んでいた。日本にとって拉致問題は人権問題だが、北朝鮮にとっては体制の問題だ。拉致問題を下手に扱ったばかりに、例えば朝鮮総連が吹っ飛んでしまうことにつながりかねない体制の問題なのだ。アメリカから体制保証を得られれば、拉致問題でいろいろな問題が発生しても体制の揺らぎはないと計算していたわけだ。
拉致したのは偵察総局だから、統一戦線部に実行犯はいない。統一戦線部は南に対して工作をするのが基本の組織だ。米朝交渉に関し、北朝鮮の外務省ではなく、外交を担当していない統一戦線部がクローズアップされるのは、韓国を巻き込みながら、韓国にあるものを使ってアメリカを動かし、米朝交渉を進めるためだ。クローズアップされてるからといって統一戦線部が拉致問題をわかっているわけではない。そこは誤解がないようにしたほうがよい。
島田: 徴用をめぐる判決で、日本企業は安倍政権の指示もあって賠償金を支払わないと言っている。今後、この問題は最高裁が強制執行を命じる可能性がある。文在寅は司法の決定なので行政府にはいかんともしがたいとの態度を取るだろう。もし司法が命じて強制執行に出てきた場合、日本にある韓国の資産を没収するなど対抗措置をとらなければならない。これについて政府・自民党がどこまで詰めて考えているのか疑問だ。
中谷: 個人補償は韓国政府が対応することになっているので、強制執行は国際法的には全く認められない。政府は企業に対して当然支払うべきではないと話すし、企業に損害を与えるなという前提で、韓国政府には適切に対応しろと強く言い続ける。
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