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変わるアジアのパワーバランス Japan In-depth創刊5周年シンポ その5

Japan In-depth / 2019年1月14日 2時12分


▲写真 ©Japan In-depth編集部


次に、出席者から質問が出た。


Q アジア情勢について聞きたい。朝鮮半島は比較的見やすいが、日本は主戦場になりつつあるのか。準備はまだできていないと思うが?


A(古森氏)アメリカが日本をどうみるかということに関しては、長期の同盟相手、つまり仲間だという意識は強いと思う。日米関係の色々な問題が表に出てこないのは、例えば、イギリスとアメリカとの関係は話題にならない、では大切ではないのか、大したことないのかというとそうではない。うまくいっていて問題がないから新聞の見出しにもならない。そういう側面は今は日本とアメリカの間にかなりある。


日米同盟は非常にうまくいっている。ところが、日本とアメリカ、日本とその他の国で認識が違うのは軍事だ。今の東アジア情勢は、軍事が非常に大きくものを言う。金正恩があそこまであっと言う間に変わったのは何故か。アメリカの北朝鮮専門家が指摘するのは’’恐怖’’だ。金正恩はこのままだと自分はやられてしまう、軍事攻撃を含めて、と。軍事が国際情勢を動かす非常に重要な要因であるのは皆認めている。


軍事がいかに重要かはアメリカ歴代政権みな同じだが、トランプ政権は特に顕著だ。軍事力のもつ強さに基づいて平和を守る。国家防衛戦略というトランプ大統領がサインした重要な文書があるが、この中に戦争を防ぐにはその考えられる戦争を戦って勝つ能力を保っておくことだ、と明記されている。戦争をできる状態にして、しかも勝つ状態にしておくことが戦争を起こさない最善の方法だと。


これは抑止力という概念だ。相手が攻撃をしかけてきたら必ず反撃を加えて、滅ぼさないにしても致命的な打撃を与える能力と意思を持っているという抑止。一方、日本では憲法問題などがあり、軍事は触れてもいけないし、考えてもいけない。ソフトパワーのみ。軍事力の役割そのものも認めないという風潮だ。しかし、いろいろなところに齟齬が出てきている。金正恩は核を離さない。日本は何の準備もしていない。


Q 中谷さんに聞きたい。元徴用工に関する最高裁判決の問題の直後に、韓国造船業の補助金に対するWTOへの提訴の話が出た。業界からすると少し遅かったのではないかという指摘がある。政府としては、たまたま造船業の支援のカードがあって、韓国に対抗する手段として選んだのか、それとも、温めてきたものが出せるタイミングとしてたまたま合致したものなのか。EUが日本の提訴に加勢するとの情報もあるが、事前にテーブルの下で手を結んでいたのか。


A(中谷氏)当然、韓国に対する制裁、圧力だ。10年くらい前にSWAP(日韓通貨スワップ)でも日本は経済的に韓国を助けた。造船、電気でも日本の民間の力で韓国を引っ張って来た。韓国はそういうことを忘れている。政府は、この他にも韓国政府にとってかなり打撃になる玉は持っていると思う。そういう一つの意味で制裁でもある。国際ルールを乱すことに対して、日本はしっかり対抗する姿勢は持っている。


(シリーズ了。全5回。その1、その2、その3、その4)


トップ写真:朝鮮半島出身者が戦時中に炭坑等で労働したとされる。長崎市の端島(通称:軍艦島) 出典:flickr kntrty


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