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早野叩きで終わらせていいのか~被ばく論文の意義と実相~

Japan In-depth / 2019年2月2日 18時0分

まずは、伊達市の政治状況だ。震災当時、伊達市長を務めていたのは仁志田昇司氏。『率先して行動するリーダー』として有名だった。震災、避難民を受けいれ、独自に除染やモニタリングをはじめ、さらに汚染度の保管場所に困ったら、市役所内に仮置き場を定めた。



▲写真 仁志田昇司 前伊達市長 出典:環境省ホームページ


仁志田市長(当時)の毅然とした態度が効いたのだろうか、震災当時人口6万1678人だった伊達市で、避難したのは約1200人に過ぎなかった。そのうち約800人が戻ってきた。


勿論、このような対応は被曝の影響を重視する人からは批判を浴びた。「住民の不安に寄り添わない伊達市 0.5 μSv/hでも安全?」や「仁志田市長はやりたい放題」と指摘された。


昨年1月に4選を目指した仁志田氏は、元福島県庁職員の須田博行氏に敗れた。この選挙の争点は行政サービスの効率化と重点化だった。須田市政となり、仁志田時代の見直しが始まった。昨年12月6日の伊達市議会の一般質問で不同意問題が取り上げられた。


ついで、放射線対策に関して、伊達市の業務と早野教授たちの研究に切り分けることが出来ないことが挙げられる。被曝データを集計するのは伊達市だ。伊達市は業務として行い、その目的は住民を被曝から守ることだ。学術論文としての発表は二の次だ。困ったことに両者では個人情報の扱いが異なる。


問題となった伊達市の被曝データは、2015年9月12~13日に伊達市役所ホールで開催された「第12回ICRPダイアログ」で早野教授たちが発表している。ICRPとは国際放射線防護委員会のことで、このセミナーの発起人だ。



▲写真 国際放射線防護委員会(ICRP)ダイアログ(写真は2017年7月8-9日に伊達市で開かれたダイアログの様子)出典:NPO法人 Ethos in Fukushimaホームページより


この研究が福島県立医大に研究倫理審査に申請されたのは、同年の11月2日だ。「第12回ICRPダイアログ」での発表から遅れること51日だ。申請書には、「本研究に提供されるデータベースには、2011年8月から2015年6月にかけての3年11ヶ月間に伊達市が全市民を対象に行ったガラスバッジによる外部被ばく線量調査、ホールボディカウンターによる内部被ばく線量調査の結果が含まれており、閲覧解析の対象者はデータを本機関に提供する同意があったものに限られる」とある。


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