親の葬式にも出れなかった!骨髄ドナーのリスクと恵み
Japan In-depth / 2019年2月13日 18時0分
ところが!である。人生というのはままならぬもので、ここで我が家に緊急事態が発生した。なんと私の入院前日に義父が亡くなったのである。これにはさすがに茫然とした。
ただでさえ私は評判の悪い嫁である。ギャンブル依存症で夫婦が揉めていた時は、義父母の前で大喧嘩をし、挙げ句私は夫のことをひっぱたいてしまった。さらに、その後ギャンブル依存症の自助グループや回復施設の活動で、ものすごく忙しくなり、夫の実家のイベントごとなど殆ど顔を出せなくなっていた。それでも義父というのは寡黙な、優しい下町の職人として生涯を全うした人で、嫁の私に文句は死ぬほどあっただろうが、特に何か言われたことも、嫌味も、まして怒られたことなど一度もなく、いつも黙ってニコニコ笑っているような人だった。今思いだしても感謝しかない。それなのに私は義父の葬儀にも行かれないという事態になってしまったのである。
入院の前日、自宅に寝かされ義母や夫の姉兄ら親類一同そして我が家の子供達が集まって義父の亡骸にお別れをしていた。特に感受性豊かな当時小学校5年生だった息子が、階段の隅っこに座り、ショックのあまり一人涙をホロホロと流しながら、声を出さずに泣いている姿をみて「子供達が生まれて初めて身内の死に触れショックを受けているのに、母親の私は一緒にいてやれない。」そしてこれだけ心配をかけたにも関わらず、優しく見守ってくれた義父の葬儀にも立ち会わない嫁、この罪悪感で心が潰れてしまいそうであった。
そう、私が考える骨髄ドナーのリスクは、絶対に外せない自分以外に代わりが効かない1日が存在すること。この一言に尽きると思う。正確には前後合わせたら最低でも3日間は絶対に外せないのだ。
私の場合は義父であったが、万が一自分の子供に何かあったら?大切な人が亡くなったら?例え配偶者が事故にあっても、自分は駆けつけられないのである。こんなリスクがあることを、引き受けた時は想像もしなかったが、まさに身をもって体験することとなった。
それでも腹をくくり勇気を出して義姉と義母に「ごめん、私骨髄バンクのドナーになってて、明日から入院なんだわ。だからお葬式行かれない。」と伝えると義姉も義母もこころよく「のりちゃん、もちろんそっちを優先して。生きてる人の方を大事にして。」と言ってくれた。私がもし嫁にこう言われたら、絶対に嫌味の一つも返すはずで、義姉と義母の優しい気遣いにも心から感謝している。
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